マヒロ

ハッピー・ゴー・ラッキーのマヒロのレビュー・感想・評価

ハッピー・ゴー・ラッキー(2007年製作の映画)
3.5
小学校の教員であるポピー(サリー・ホーキンス)は底抜けに明るい性格で、同僚に着いていってフラメンコ教室に通ってみたり聞かん坊な生徒に親身になって接したり、時には寒空の下のホームレスを気にかけて声をかけてみたりと、様々なことに臆さず手を出していた。しかし、そんな彼女の明るさでも何とも出来ない事もあり……というお話。

主演のサリー・ホーキンスはアンニュイだったり優しげな役柄のイメージが強いが、今作ではとにかく何でもかんでも楽しもうとする究極のポジティブシンキングで、四六時中ケタケタ笑っている陽気の塊みたいな人でとにかく魅力的。…若干空気が読めないところもあるので、ずっと近くにいたら鬱陶しく思いそうでもあるが。

何か大事件が起こるわけではなく、ポピーの周りで起こるささやかな変化を描いていて、友人や良い仲になる男性との温かい会話や、思わず生まれる軋轢のちょっとしたスリルをのんびり楽しむような作品だった。
以前観たマイク・リー監督の『家族の庭』は、幸せな家庭の話かと思ったらそことは対極にいる人との断絶についてシニカルな目線で描いたなかなか厳しい作品だったので、こちらもなんかあるんじゃないか……と穿った見方をしていたが、割と最後まで平和な話でちょっと安心。ただ、その「陽」と「陰」の埋まらない溝みたいなものについては今作でもあるエピソードで描かれており、今作では徹底して「陽」の側の目線しかないのでその断絶について特に深掘りされる事もないというある種の冷たさを感じなくもなかった。そこまで意図してるのかは分からないが。

(2022.232)
マヒロ

マヒロ