むぅ

ナイト・オン・ザ・プラネットのむぅのレビュー・感想・評価

3.6
人には必ず物語があって、タクシーやバス、電車それぞれの乗り物はその物語も運んでいるんだな、と思って明日電車に乗るのが楽しみになった。

タクシーの中で繰り広げられる5つの物語は、運転手・乗客・観ている私たちと、たくさんの物語に姿を変え紡がれていくような思いだった。5つのどの物語にも「そうだよね」とハッとさせられる言葉があった。どんな物語にも、誰かの心に響く“名台詞”があるものなのかもしれない。

街や電車で見かける色んな表情の人の物語を想像してみるのが好きだ。
終電で泣きながらきっと誰かとLINEしてるであろう女の子が心配で気になってしまった。
可愛らしいおばあちゃま2人が、立ち話のつもりだったのに話が盛り上がって長引いたのか、1人は壁に寄りかかり1人は壁に手をつき、最終的に“壁ドン”の形になっていて笑ってしまった。
でも何年も前なのに私の想像力を最も刺激してくれた方は、夕方の電車で化粧を落としていた彼女。するなら分かる、100歩譲って。落とすその訳は。未だにこれだ!という空想の物語は完成していない。

そんな私も酔ってご機嫌で乗ったタクシーを「ご馳走様でした!」と元気に降りたことがある。
あちらからしたら「はー?」である。酔っ払ってたもんな以外の物語に発展させられなくて、何だかすみませんという気持ちに今更なってしまった。
むぅ

むぅ