このレビューはネタバレを含みます
アラスカへ向かうウェンディがオレゴンで犬のルーシーがいなくなるお話。整備工場の親父がたまらなく好きでした。
もたざるものの悲哀だとかいうよりも、ウェンディの社会不適合っぷりが地味かつ丁寧に描き出されていたよう。全然挨拶もお礼も言わないし。
金にまだ余裕あるのにしょぼい万引きして捕まるのも、整備不良で車がオシャカになるのも、全部がボンクラの自業自得にしかみえず、しかしそこにストレスを感じさせない演出が凄いと思いました。旅路へ起つウェンディから、成功して戻ってこれる未来も一切感じられず…。
映像はアメリカらしい構図とカット割りで美しかったんですが、キマっているとまでは感じられず。演技が素晴らしかったですが、犬がちょっと物足りなかったなあ。ついでに、ウェンディの髪がカツラみたいに見えてしまいました。
淡々とした空気感で、失うことを遠い視点で描いた名作でした。