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第三の男のbackpackerのレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
4.0
時は第二次大戦終戦を迎え、4国分割統治されるオーストリア・ウィーン。
アメリカ人の西部劇小説家ホリーは、親友ハリー・ライムを頼り文無しでやってくる。
しかし、到着早々ハリーが死んだと聞かされて……。
GHQのキャロウェイ少佐の追及。
葬儀に参列した友人達と目撃者とで矛盾する証言。
ハリーの死体を運んでいた、第三の男とは一体誰なのか……。

序盤はスタンダードな謎を追う話ですが、中盤からは友情と善意の葛藤や人間ドラマ的側面がメインに。
壁に映る影や、暗がりに浮かぶ光などが印象的で、とても美しい。
個人的には、音楽が良かった。あれですね、どこだったかのビールのCMでお馴染みの曲です。独特な雰囲気を醸し出してました。

友人の謎の死から、徐々に膨らんでいく事件の真相。偽造パスポートやペニシリン密売事件とも絡み合う。イタリアのルネッサンスとスイスの鳩時計のくだりはむむむと唸らされました。
最後の下水道内大追跡も、暗闇と光の演出が光ります。

クライマックスのホリーの姿は、悲壮な覚悟が顔に浮かび上がっています。
そして、音楽に乗せて、ラストシーンへ。
あのまっすぐな固定ショットのラストは、余韻があってとても好きでした。
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