Jaya

少年、機関車に乗るのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

少年、機関車に乗る(1991年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ファルーとアザマットの兄弟が父のもとを訪れるロードムービー。勝手に1960年代くらいかなと思い込んでいましたが、もっと新しかった…。

劇伴がエスニックかつポップな要素も強く、若干のミスマッチがかなり印象的で心地よく楽しかったです。

この兄弟、特にデブちんことアザマットの配役が凄まじい。これほど自然な兄弟の空気感を作り出せるものか。ムスッとしたようなガッカリしたような表情が愛らしく、どうやって演出したのだろう。土を食うキャラ付けも素晴らしい。

これぞロードムービーと思える展開で、2人と運転士ナビを通り過ぎていく様々な人々の様相に、人生への強烈な愛を感じてしまいます。

序盤のコップだとか、一見意味のないようなクローズアップが緊張を和らげてくれるようで惹き込まれました。また、優しくキマった構図や、独特な光と影の使い方、カメラの動きが、物語の雰囲気を強めているようでした。

兄弟を軸に、母への微妙な距離感の違いや父への接し方が強いリアリティを以て描き出され、さらに行き交う人々が日常と非日常の間に漂い揺れ動く心情を強烈に強めるロードムービーの傑作でした。
Jaya

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