abee

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のabeeのレビュー・感想・評価

3.6
【中つ国冒険日誌 頁参
〜きみがいてくれてよかった。】

日にちが空きましたが、三部作、無事に完走いたしました。
例に漏れず、見始めから前作どのような形で終わったのかすっかり忘れ、「二つの塔」の最後のチャプターを2つ見返しましたが…

前2作を敢えて点数は付けず三部作の総括として今作3.6の点数を付けさせて頂きました。
やはり、最初に思った通り全てを鑑賞しないことにはその価値を測ることができない作品でした。
3度目の正直、ようやくこの作品の魅力が分かったような気がします。
トールキンが当初児童書として書き始めたものが大人から人気を博したというのも納得な深いメッセージを持った作品。

これは人間の欲望とその愚かさの物語でした。

「指輪」は人間の欲望の対象であり、それを巡る人間模様は愚かさの極み。そして「指輪」の真の持ち主であるサウロンは人間の「欲望」そのものなのです。
つまり、サウロンとの戦いは己の「欲望」との戦い。最後は自分との戦いなのです。

サウロンが身体を持たず、炎の目という形の無いものとして描かれているのは、人間の内面的な戦いを視覚化しているだけに他ならないのです。

ただ、「欲望」というものは必ずしも醜いものではなく、愛する人の幸せを自分の犠牲の上に願ったり、自分の命と引き換えにしても愛する人を手に入れたいと願うような、眩しく美しいものもある。
それをファンタジックで壮大な世界観の中に落とし込んだトールキンとそれをエンタメとして視覚化させたピーター・ジャクソンのセンスには脱帽です。

しかし、ファンタジー・アドベンチャー作品として致命的な欠陥があることは事実で…
あまりにも大人に向けたターゲティングが過ぎると思います。
3作全てが3時間の超大作。
本来親子で楽しめるはずのジャンルだと思いますがこれは子どもには優しくないですよね。
そもそも原作が既に児童文学の枠を超えてしまっているとはいえ大人でもキツい。
3作目の「王の帰還」がアカデミーの作品賞を授賞していることに象徴されている通り、何しろ1作毎ではほとんど何も伝わってこない作品作りをしていますから結局9時間です。
これは明らかにマイナスポイントでした。

ということで、少なくとも苦手としていた「ロード・オブ・ザ・リング」を克服した、という点では鑑賞して良かったと思っています。
主人公であるはずのフロドが自分では何もできないのも、人間は1人では生きていけないことの象徴だったのだろうと思います。

明日からは仕事も少し余裕があるので、「ホビット」三部作を一気に鑑賞致しますよ‼︎
abee

abee