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リトル・ダーリングのMOCOのレビュー・感想・評価

リトル・ダーリング(1980年製作の映画)
4.0
「本当はまだ子供なの、
セックスって実際はそれまで考えていたのとは違うのね」

 サマーキャンプ場“キャンプ・リトル・ウルフ”行きバスに乗る集合場所に、胸元を露にした母親にボロボロのオープンカーで送られてきたエンジェル(クリスティ・マクニコル)とは対照的に両親にロールスロイスで送られてきたお金持の娘フェリス(テイタム・オニール)、二人は最初から周りの人から注目の的でした。

 遅れてきたフェリスは唯一空いているエンジェルの隣りに座るのですが、早速小競り合いが始まります。
 キャンプ場はグループで一つのキャビンが割り当てられるのですが、反目するエンジェルとフェリスは同じキャビン、しかも隣り合わせたベッドになってしまいます。
 同室の14歳で初体験を済ませたことを自慢しているCMタレントのシンダー(クリスタ・エリックソン)は、大人ぶって皆をリードし始めます。
 フェリスの肩を持つシンダーに、エンジェルとフェリスのどちらが早くバージンを失うか賭けようとそそのかされた二人は、引っ込みがつかなくなり、シンダーはフェリスが先にバージンを失くす方に100ドルを賭けると言い出し、賭けはキャンプ場全体を巻き込み、キャンプ場はフェリス派とエンジェル派に二分されます。

 フェリスはキャンプの運動コーチ、ゲリー(アーマンド・アサンテ)を初体験のターゲットに選び、エンジェルは皆でスキンを手に入れるために訪れた駐車場のトイレで偶然会ったランディ(マット・ディロン)を初体験のターゲットに選びます。
 ランディは近くの“キャンプ・トマホーク”に来ている不良ぽい長髪の男の子です。

 キャンプ終盤のある日、フェリスはネグリジェ姿でゲリーのキャビンを訪れるのですが諭され部屋に帰されてしまいます。
 寂しそうに帰ってきたフェリスを見て、皆は勝手にフェリスはバージンを喪失したと思い込んでしまいます。
 同じころ、エンジェルは湖畔のボートハウスでランディと初体験をするのですが、エンジェルは深く後悔しランディに別れを告げ部屋に帰ると皆に「私の負け」と話します。

 この賭けの噂が発端になり少女と肉体関係を持ったとされるゲリーは引責辞職を言い渡されてしまい、フェリスはゲーリーのキャビンを再び訪ね謝罪するのですが、許してもらうことはできませんでした。
 フェリスはエンジェルにゲリー・コーチとの間には何もなかったことを打ち明け、エンジェルは泣きながら後悔している初体験のことを話します。

 フェリスはゲーリーコーチを助けるために、キャンプ場の偉い先生に本当のことを話しに行きたいとキャビンの仲間に相談するのですが、シンダーは猛反対します。
 それまでのシンダーの上から目線の態度に腹をたてていた一人がシンダーを突き飛ばすと皆でキャンプ場の先生に告白に行きゲーリーコーチの退職は取り消され無事キャンプは修了します。

 このキャンプ最中にフェリスの両親が離婚したため、駐車場に着いたバスを降りたフェリスを迎えに来たのは父親だけでした。
 そんなフェリスの所に母親を連れたエンジェルが現れ、母親にフェリスを紹介します。
「ともだちのフェリス・ホイットニーよ。最高の友達!」

 公開当時世界的に人気のあったテイタム・オニールと、アメリカでは人気があったものの日本では無名のクリスティ・マクニコルの二人が主役でした。
 いつもタバコを手放せない笑顔のない突っ張ったエンジェルが、少しづつ笑顔を見せ始めるとクリスティ・マクニコルの魅力が爆発し、映画雑誌の表紙を何度も飾りました。
 サブキャストにまだ駆け出しのマット・デロンが起用されていて、ピチピチのTシャツの袖の中にタバコのパッケージを入れて持ち運んでいるのが妙に印象に残っています。

 青春期にこの映画をご覧になった方は印象深く心の片隅に残っているのではないでしょうか?

 孤独な不良少女エンジェルがサマーキャンプでいつの間にか大親友に巡り会うありきたりの青春映画なのですが、性的描写は全くなく映画の終盤にエンジェルとフェリスが見せる涙に魅せられてしまうなんだか素敵な映画です。
 15才の背伸びしたい少女達が描かれています。

 劇中に使用される音楽の許諾問題でDVD化されておらず、希に専門チャンネルで放送されるのですがズタズタに引き裂かれ60分程度の短縮版でしか観ることができない残念な映画です。
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