B5版

地下水道のB5版のネタバレレビュー・内容・結末

地下水道(1956年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

どの道を選んでも地獄、地獄。
絶望の暖簾分け。

濁流と悪臭に正気を揺るがされ、
延々と伸びる道の影に怯え、
挫けたら最後、身は汚水に沈み行く。
立ち上がったもの達には平等に救いがない。

アンジェイ・ワイダ監督の抵抗三部作鑑賞中。
『灰とダイヤモンド』よりこちらのが好きかも。先に観るとよりポーランドの第二次世界大戦中の出来事がよりわかりやすい。

他国に幾度も幾度も支配されてきた国ポーランドは芸術の力を借りて、出来事を糾弾する。
わたしはけしてあの日を忘れていないという啓蒙映画は高潔に、そして出来事故にとても痛々しく映る。

開かない出口を前に、恋人をかいなに抱くデイジーの姿はピエタの聖母マリアのようだが、彼女は悲嘆に暮れず2人で生きる意志を絶やしていない。
しかし鬼が出るか蛇が出るかの暗闇の人間模様の末に、灯りが差すことは実際なかったのだろう。
その構図がひたすら哀しかった。
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