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ジャッキー・ブラウンのRのレビュー・感想・評価

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)
4.8
ひっさびさに3回目?見たけど、すんごいな!!! 人間関係の描き方と、クライマックスへの伏線と、その後の回収と、何もかもどんだけ念入りやねん! ひとつひとつの人間同士のやりとりから立ちのぼる豊かなリアリティの厚みと馥郁たる情感のかほりは、舌鼓をうつ素晴らしさ。それでこの長い上映時間なわけね。何たる旨み! 全シーン釘づけになっちまった。まずオープニングから激渋! サイコーすぎてまだ何も始まってないのに泣けてくる!!! Across 110th Streetで沸き立つソウル、オートウォークでゆっくり運ばれる黒人のおばさんジャッキーブラウン、彼女の優雅でクールなプロフィール。このスタイル!!! 極上!!! オープニングだけ何回も何回も見てしまう映画のひとつになりました。ちなみに僕の大好きな映画のオープニングを挙げておくと、enter the void, the graduate, lost highway, vertigo, psychoなどです。Youtubeで是非ご覧になってみてください。また皆さんの好きなオープニングがあったら教えてください。おっと既に長くなりすぎた笑 お話の中心は、デカい仕事で大金を稼いでそれを最後に退職しようと目論んでる違法銃器ディーラー、そのディーラーを逮捕したいと思ってるAFT、その二者をうまくだまくらかして、大金をゲットしようと画策する主人公ジャッキーブラウン、彼女は低質&低給なメキシコのエアラインの受付をしてて、それだけじゃ生活していけないから、ディーラーの金の運び屋をしてる、この3者の駆け引きが緻密に作り込まれていながら、それと感じさせない、風通しがよく実在感のあるキャラクター描写で魅せていく。一方、一旦逮捕されてまうジャッキーブラウンの保釈を担当する保釈保証業者が、ひと目みてジャッキーにフォーリンラブ。そのシーンのスローモーションとソウルのスウィートさには陶酔してしまう。決して慕情をあらわにすることなく、仕草や視線で、かすかに交わされるビタースウィートなロマンス、実にすばらしい! 実に! 一瞬で恋に落ちるのも納得のジャッキーを演じるパムグリアーの熟成された魅力がすごい!!! この映画の最大の魅力はパム!!! こんなにカッコよくて渋くて人間的豊かさがにじみ出てるクールなおばさんを、あなたは見たことありますか! 貧窮した生活にピンチを感じてる姿すら神々しい。始終釘づけ! 特にショッピングのシーンで、キャッシュで払うわ!って言うとこめちゃくちゃ好き! お相手役のロバートフォスターの、悩殺され感とおとぼけ感とシャープなプロ意識の混交も魅力的やし、ロバートデニーロは頭の回転は速いけど頭が悪い、間の抜けた感じがかわいい。こんな役すら完璧にできるんすね。そしてブリジッドフォンダ、ひねもすマリファナきめてぼーっとした頭で、感覚の冴えた性欲だけを持て余す、だるそーな感じ、すばらしねー。彼らプラス数人の頭のキレる人たちの中、いったい誰が他を出し抜くのか。その駆け引きがどのシーンもほんとに豊か。そして、同じ時間軸を巻き戻して3者の視点から3回描いていくクライムのクライマックスは鳥肌モノ! けどそこからも結構長いので、焦らずじっくりドラマを堪能してね! エンディングがヤバいのです。こんなに渋みが全身の細胞に行き渡る幸福感を味わえる映画は大変に貴重やと思います。これからも何度も見て味わいたい。深いコクです。
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