らくだ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのらくだのレビュー・感想・評価

4.5
孤児出身で低層生活をしながらも、自分でも持て余すほどの天才的頭脳を持つウィルは、清掃員として勤めるMITでその才能の片鱗を見出される。自らが起こした暴行事件の実刑免除と引き換えに受けることになったセラピーの中で、狂犬そのものだったウィルに変化が訪れていく…という、ぐじゃぐじゃになった糸玉を解きほぐすような暖かいヒューマンドラマです。

最初は超生意気で才気が走りすぎてるウィルに対して「こ…このクソガキが…」と思ってしまうのですが、彼の非常に未成熟で臆病な内面が紐解かれるにしたがって少しずつ、少しずつ彼のことが好きになっていき、最後にはまるで母親がわが子を見守るような気持ちにさせてくれます。これが…母性…?(なお、その場合父性はショーン先生です(??))そんな、当初は世界への警戒と人生への絶望で満ち満ちていたウィルの心を開かせるのは、セラピストというにはあまりにも人間臭くて飾らない、ノーガード戦法のショーン先生なんですよね…(しかもロビン・ウィリアムズですよ…?)最高の師でありパートナーですよ。
彼の親友たちも良い奴らで、ウィルの背中を押すチャッキーの、宝くじにたとえて送るセリフがかっこよすぎるんです。素敵な人たちに囲まれてるなぁ
それで、この作品はウィルの成長を描くものではあるのですが、作中で語られるだけでなく「世界に対して怯えていた少年がこれから成長し歩んでいく、自分で自分のスタートラインに立つまでの物語」なんですよね。ウィルのこれからを応援せざるを得ませんし、自分の中にある(そして誰の心にもあるような)、似たような心の澱みにも手を差し伸べられたような気がして、自分も救われたような柔らかい後味です。

今も男前ですけど、若いマット・デイモンの顔面ビジュアル値の暴力っぷりはすさまじいですね…ロビン・ウィリアムズもこの人以外ありえないと思うほどにハマってるし、眼福がすぎる。ありがとうございます(?)
らくだ

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