連続通り魔事件に巻き込まれ大怪我を負った武闘派ヤクザの組長・ドンスが、復讐のために悪徳警官・テソクと時に協力して、時に出し抜きあいながら、自分たちのメンツを賭けて殺人鬼を追い詰めていく…という、韓国映画らしい湿度の高い闇が映えるクライムアクションです。
そもそも殺人鬼もたまたまターゲットにした相手が、肉体的にも精神的にも社会的にもバッチリ仕上がってる最高品質状態のマ・ドンソクとかあまりにも運がないにもほどがある。ある意味では「見境いなく襲った、誰でもよかった」の究極の形ではある…究極すぎる
この組長のマ・ドンソクは宛書か？とも思えるくらいに役にハマっていてめちゃくちゃカッコいいんですけど、それと同時に「絶対敵に回したくない…」って思うくらいこわい完成度です。そしてこの組長に対して一歩も引かずに駆け引きをキメてくる悪徳刑事テソクの図々しさや強さも相対的に映えてくるのがまたいいんですよね。共通の敵である殺人鬼も、しっかりと「こだわり」のあるキャラクターで最後まで全員が格を落とさない、骨太な作りの作品です。全員死んだら地獄に堕ちると思います。全員死んだら地獄に堕ちるキャラクターばっかりな映画は良い映画なので…
事件の大筋は非常にシンプルな犯人を追い詰めていくタイプのクライム・アクションで、ラストがひとひねりあってしかもそれが非常に背筋の寒くなるような着地で、「スッキリ」とはまた違うとは思うんですけど、妙な「納得」感があってよかったですね。こわいけど…
