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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのRのレビュー・感想・評価

4.4
ボクの大好きなガスヴァンサントのおそらく最も有名な映画、久々に4回目見てみました。ガスヴァンサントにしてはかなり普通な一作と言えましょうが、これはこれですごくいい! 主人公はウィルハンティングというボストンの労働者たちの町に暮らしてる青年で、若い若いマットデイモンが演じてる。若い頃も魅力的だけど、ある程度おっさんになってからの方が可愛くてセクシーだなと思った。ウィルは大学構内の掃除夫として働いてるんやけど、本を読むとき写真みたいに内容を記憶できるという特殊能力に加えて、数学の天才でもあります。けど、孤児で養父養母に虐待を受けてた過去があり、知識で自分の傷を鎧って、誰も心に踏み込ませない。と、我々凡庸な日本人とはかけ離れた男が主人公で、序盤はこの天才が粗野な仲間たちとつるんでバカやってるシーンとか、ハーヴァードのインテリを言いくるめるシーン(後から同じ論理で他の人に言いくるめられるの面白い)とか、いろいろあるんやけど、これ見よがしにステレオタイプにはめたキャラを、映画作った人たちが上から操作してる感じがキツくて、結構鼻につく。それは敢えての演出であるとが後でだんだん分かってくるのではあるが…こんな共感しづらさでどうやって我々を引っ張るつもりか!と思うんやけど、ウィルの周りにいるのは比較的ふつーの人たちなのです。彼の数学の才能を買って、世に出してやろうと援助しながらも、自分の凡才に向き合わざるを得ない数学の教授。ウィルに出会い恋に落ちるけど彼の本心に入ることのできない彼女のスカイラー、なぜか僕は彼女にすごく感情移入してしまった。そして、一悶着あって彼のカウンセリングを引き受けるロビンウィリアムズ演じるショーン。この人の、本当の自分を抑えてはいるが隠すつもりのない、人に合わせようとすることもしない、自分の身の丈を偽ることなく生きてる感じ、そしてウィルの心の動きを正確にとらえ、彼の心が開くのを忍耐強く待つ姿がとても感動的。そして、いよいよ自分が人生の転換点に立っていることをはっきり意識したウィルが、ついにグラついて崩れてしまう場面は、ホントに涙ボロボロ! ロビンウィリアムズの慈愛に満ちた瞳がほんとに素晴らしい! こんなに哀しくもやさしい、深い瞳を演じられる俳優が他にいるだろうか! 個人的にはそのシーンのマットデイモンの心の動き、ほんのもう少しだけ長くタメがあったらもっと完璧だったろうに!って思う。けど、ここらへんの感覚って人によって違うやろから正解なんてないし、こんな絶妙な間を要するシーンを作り上げようとすること自体がすごい。全編でこのシーンが最も印象的! そして、タイトルの旅立ち。ウィルはいったいどんな答えを出し、どこに向けて旅立つのか。また、ウィルとのカウンセリングを通して、ショーン自身も変化を遂げる。エリオットスミスの青春の香り立つ切ない音楽を聴きながら、彼らの選択に胸が高鳴りました。人生のさまざまな苦悩や迷いを突破し、常に新たな旅立ちをしていくことこそが、年齢に関係なく、青春なんだな、と思った。全体的には娯楽作品として若干気になるステレオティピカルな表現が散見されつつも、やっぱガスヴァンサントが若いかわいい男の子を監督するといい映画になるなぁ、と再確認させられた。すごくよい映画やった。
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