台湾版『ラ・ラ・ランド』。うそ。ジャズピアニストでなくAV男優、女優志望ではなくなんだかよくわからない女の2人による恋愛悲喜劇。でも『ラ・ラ・ランド』と2本立てにして観たい。デイミアン・チャゼルはツァイ・ミンリャンに敬意を評して、ライアン・ゴズリングの頭に西瓜の皮かペニスの被り物を乗っけるべきだった……。
最初から最後まですべてのシーンが笑えるというすごいコメディ／ミュージカル／恋愛映画で、西瓜とかペットボトルとかアスファルトに埋まった鍵とか、あらゆる小道具がほとんどコントのように存分に活かされている。最後までチェン・シャンチー（二階堂ふみに見える）とリー・カンションはセックスによって結ばれることはないのだが－－その暗喩として食事のシーンが描かれる－－、それがゆえに『西瓜』の最終シークェンスは爆笑しながら泣けてしまう。なんともおかしな映画である。
フィックスして長回しするカメラは、時折挟まれるミュージカルでは存分に動き、細かくカットを刻み、ほとんどセリフのないドラマを躍動感に満ちた映像で推進させる。『シェルブールの雨傘』を完全に馬鹿にしているシークェンスだけでも必見だ。
