茜

シン・シティの茜のレビュー・感想・評価

シン・シティ(2005年製作の映画)
4.0
優しくてタフな男たちが盛り沢山のハードボイルド。
一体何が正義で何が悪なのかと考えさせられる少し切ないストーリーも魅力的。

原作者であるフランク・ミラーが共同監督を務めている影響か、モノクロ映像に部分的に原色を用いるという手法はどこかコミック的でもあり、過激な描写とその演出が絶妙にマッチしている。
ストーリーは3つのエピソードから構成されており、それぞれの話がとある場所で交錯するという展開も独特で面白い。

3つのストーリーに登場する男たちは、3人とも愛する女性を守るために死をも厭わず戦うというタフで優しい心の持ち主。
個人的にはこの3人の主人公達が若いイケメンではなくおじさんという点が、この作品に渋さと哀愁をもたらしていて好き。
3人共それぞれ皆かっこいいけど、特にミッキー・ローク演じるマーヴがいい男過ぎて観ていて泣けた。
コワモテな容姿のため女性から敬遠されていたマーヴが、一夜を共にしただけの女性のためにズダボロになって戦うところが切なくてかっこよくて仕方ない。
最後の最後まで彼女を想う気持ちが純粋過ぎて、思わず涙が出てしまった。

そして男性陣だけではなく女性陣も皆かっこよくてセクシーで、特に着物風の衣装を纏って手裏剣と日本刀で戦うデヴォン青木のオリエンタルな雰囲気が最高に好き。

バイオレンス描写が割と過激ではあるけれど、映像がモノクロ基調なのでそこまでエグさを感じないところも良い。
もはやコミカル過ぎて思わず笑ってしまうような演出も所々ありつつ、そのお陰でストーリーの重さと過激描写が程よく中和されているのかなと感じる。
観る人を選ぶ作品ではあるかもしれないけれど、渋くて強い男の中の男を観たいなら最上級の映画だと思う。
茜