Growltiger

ジョニーは戦場へ行ったのGrowltigerのネタバレレビュー・内容・結末

ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

第一次世界大戦にて負傷したジョー。
一命はとりとめたが目、鼻、口、耳、四肢を失い、外の世界との交流が出来なくなった。僅かに動いて意思表示を示すが痙攣発作だろうと鎮静剤を打たれるだけ。
人間の尊厳と戦争のもたらした悲劇を描いた反戦作品。


ホラーじゃないのに非常に恐ろしい作品。
映画視聴者のみがジョーの心の叫びを聞き、彼の絶望を共有する。
辛い。辛過ぎる。
日本の江戸川乱歩の小説『芋虫』が介護する妻目線に対して、こちらは当事者目線。

原作本は第二次世界大戦時には絶版にもなったそうな(そりゃ読んだら志願兵減るだろうよ)。

そう言えば、タイトルの「ジョニー」は主人公の名前ではありません。
原題は『Johnny Got His Gun(ジョニーは銃を手にした)』なんだけれど、これは第一次世界大戦の時の「Johnny Get Your Gun(ジョニーよ銃をとれ)」という志願兵募集の宣伝文句を皮肉ったものらしい。
つまり「さぁ戦争に行こう」って有名な宣伝文句に対して「はい戦争に行きました(そしてこんな風になりましたよ)」ってタイトルをつけた感じだろうか。
最後のテロップに出るのは
「祖国のための死ぬ事は美しく名誉である」
ジョーは死んでないんだけど...
さて、この言葉をどう受け止めるべきでしょうね。

映画ラストの絶望感は凄いです。
苦痛を訴える事も、逃げる事も、自殺する事すらも出来ないジョー。
なんとかモールス信号という望みを見つけるが彼の望みを叶えてくれる人はおらず、1人誰も応えないSOS信号を送り続けるのだった

S...O...S.......HELP...ME

S...O...S.......HELP...ME

S...O...S.......HELP...ME