🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-342 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-555

🖋『イヴの全て』で演劇界の内幕を暴いたジョーゼフ・L・マンキーウィッツが映画界の内幕を暴いた問題作。。。という紹介をされる作品ですが、実際的には一人のスター女優の悲運の生涯を描いた作品という方が内容的には正しいですよね。その女優を演じたエヴァ・ガードナーの成熟した美しさとその生涯を回想するナレーションをハンフリー・ボガードにさせることによってマンキーウィッツらしい巧さを感じる作品です。

🖋有名なところでは、淀川長治氏が“名作はカットなしで放送する”という主張を提示して実現した「洋画劇場」の栄えある第1回作品に選ばれた名作であるということ。そしてこの時代に私が観た作品では初めてエンドクレジットが流れた作品では？と思ってる作品です。

🖋しかしながら主人公の悲運の生涯を淡々と描くだけで、心情描写があまりなされないのが少し残念で、結果ストーリーテリングが単調に思えてしまいました。。。

😢Story:（参考: Amazon ）
マドリッドの小さな酒場で踊っていたマリアが、映画監督ハリーらに見出され、身の回り品ひとつ持たず裸足のままローマへ飛んで映画に出演。映画の成功と共にハリウッド・スターとなった彼女は、やがてイタリアの伯爵と結婚するが、戦争で性的不能者となったことを伯爵から知らされ、不倫の恋に走って妊娠するが……。映画は伯爵夫人マリアの葬式から始まり、式に参列しているハリーの言葉がナレーションとなって、短くも波乱に満ちたヒロインの生涯が回想されていく。

🔸Database🔸
・邦題 :『裸足の伯爵夫人』
・原題 :『The Barefoot Contessa』
・製作国 : アメリカ
・初公開 : 1954
・日本公開 : 1954/11/11
・上映時間 : 130分
・受賞 :
第27回アカデミー賞 助演男優賞
第12回ゴールデングローブ賞 助演男優賞
・監督 : ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
・脚本 : ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
・原作 : ※※※
・撮影 : ジャック・カーディフ
・音楽 : マリオ・ナシンベーネ
・出演 : ハンフリー・ボガート、エヴァ・ガードナー、ロッサノ・ブラッツィ、エドモンド・オブライエン

🔸Overview （参考:映画. com）🔸
「ジュリアス・シーザー(1953)」のジョセフ・Ｌ・マンキーウィッツが主宰するフィガロ・プロの第1回作品である。マンキーウィッツ自身が脚本を書き下ろし監督にあたったもので、テクニカラー色彩の撮影は「バラントレイ卿」のジャック・カーディフ、音楽は「Ｏ・Ｋ・ネロ」のマリオ・ナシンベーネ。「麗しのサブリナ」のハンフリー・ボガート、「円卓の騎士」のエヴァ・ガードナー、「ジュリアス・シーザー(1953)」のエドモンド・オブライエン、「路上の夜」のマリウス・ゴーリング、「女の獄舎」のヴァレンティナ・コルテーゼ、「噴火山の女」のロッサノ・ブラッツィ、エリザベス・セラーズ、ウォーレン・スティーヴンスなどが出演する。

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映画女優で伯爵夫人だったマリア（エヴァ・ガードナー）の葬儀に参列した映画監督ハリー（ハンフリー・ボガート）が彼女の生涯を回想する。3年前、ハリーはマドリードの踊り子だったマリアをスカウトし、映画界のスターに育てる。その後、大地主や南米の富豪と浮名を流し、やがて伯爵と熱愛に落ちるマリアだったが、彼女のおとぎ話は思わぬ結末を迎える。

ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督による、壮大な悲劇ドラマ。

マリアを取り巻く男たちが、それぞれの視点で彼女を思い起こす。「羅生門」的なつくりの中、マリアが運命に弄ばれるとともに、男たちも5者5様に翻弄される姿が面白い。
結局、本当の彼女を理解し愛した男はいなかったんだろう。違う世界から眺めるだけで理解できないオスカー、最も近い存在だったけど、導くだけで踏み込まなかったハリー、自分の欲求や見栄のためにゴージャスなマリアを求めたカークとプラヴィーノ、そして誠実で紳士な伯爵も実は一族の名声のためにマリアを利用していただけだ。

裸足で踊る情熱とともに、王子様を待つ一面を持つマリアが、その美貌とあわせて魅力的。あまりに世間知らずで、普通に心も体も愛されたかっただけなのに、なんとも切ない結末だった。
彼女を華やかで残酷な世界に連れ出して、お互いに絆を結んだけれど、愛することを躊躇したハリーの罪悪感はいかほどか。

なんにせよ、これはエヴァ・ガードナーによるエヴァ・ガードナーのための映画。ハンフリー・ボガートだって添え物だ。
金や地位になびかない貫禄、土の中から愛を求める弱さを見事に演じていた。ヨットの上でもカジノでも存在感抜群！

No.279[枯れ果てたボギーの悲しい背中を見よ]　80点

『スティーヴ・ジョブズ』みたいな話の本筋も、金だけ持ってるクズ男たちのステータスとしてしか見られないエヴァ・ガードナーすらもどうでもよく、ただただ枯れ果てたボギーの優しくも悲しい佇まいにやられてしまう。一人だけ傘もささずに雨に濡れたトレンチコートに顔をうずめ、娘のような存在だったガードナーとの記憶を思い返す物悲しさだけでお腹いっぱい。彼女と過ごした日々は彼女に関わった男たちがそれぞれの時間軸で語るために断続的で、大衆出身者がだれもいないために一瞬にして時間が経過していくという特異な展開を迎え、その中でボギーはもどかしさと後悔に揉まれて本人以上に消耗していく。もうほんと、バコールが先に亡くなってしまう世界線のボギーって感じに見えてきて苦しかった。

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