YYamada

スタンドアップのYYamadaのレビュー・感想・評価

スタンドアップ(2005年製作の映画)
3.8
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈シングルマザー、セクハラ訴訟に挑む〉
 ~世界初のセクハラ集団訴訟 / 1975年
・場所: アメリカ/ミネソタ州
・人物: ルイス・ジェンセン

〈見処〉
①実話とは思えない(怒)、
 卑劣な女性軽視環境を描く問題作
・『スタンドアップ』(原題『North Country』)は、2005年に製作された社会派ドラマ映画。
・本作の舞台はミネソタ州郊外。夫の暴力から逃れるために、故郷に戻ったジョージー(シャーリーズ・セロン)は、父親の違う二人の子どもを抱えるシングルマザーという立場から、父親や地域社会から冷たい視線を受ける。
・生活のため、父と同じ鉱山で働き始めるとジョージーは「男の職場」に入り込んできた女性労働者への嫌がらせやセクハラに直面し、遂にはレイプ未遂に至ることになる。同僚女性が沈黙するなか、一人立ち上がることになる…。
・本作は1988年に告訴された世界初のセクシャルハラスメント訴訟を題材としたノンフィクション『Class Action: The Story of Lois Jensen and the Landmark Case That Changed Sexual Harassment Law』を原作としている。元になった訴訟は、和解まで最初に告訴してから10年、ハラスメントが始まってから20年以上要しているが、本作は一部脚色を加え、よりドラマティックな作品として映像化されたものである。

②豪華出演陣
・13キロの増量に挑み、第76回アカデミー賞主演女優賞を受賞した『モンスター』(2003)から2年。主演のシャーリーズ・セロンは、本作でも 第78回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、当時30歳の彼女のキャリアピークにあたる時期の作品として、その演技と美貌は秀でている。
・また、本作は『ファーゴ』『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド、『歌え!ロレッタ愛のために』のシシー・スペイシクと3人のオスカー女優が出演している。
・助演の女優陣もミッシェル・モナハンや高校生のジョージー役はアンバー・ハードも脇を固め、今となっては大変豪華な配役。
・また、男性俳優もショーン・ビーン、ウディ・ハレルソンの名脇役に加えて、ブレイク直前のジェレミー・レナーが下衆の極みの男性を演じており、今では実現困難なキャスティングとなっている。

③結び…本作の見処は?
◎: 主人公ジョージーによる行動やラストシーンを想起させる邦題『スタンドアップ』は原題にも勝る素晴らしいネーミング。
◎:「労働者集会による父親の演説」とラスト「裁判所の公聴会」のシーンには大変感動した。この両シーンを観るだけでも、鑑賞の価値あり。
○: エンドロール曲のボブ・デュランが沁みる。
▲: 長男の出生経緯や男性労働者たちの非人道的な行動に怒りを覚えざるを得ないが、「事実に基づくストーリー」と告知している以上、どこからが脚色された内容かはっきりさせたい。色々な記事を見ても、本作はその線引きがかなり曖昧。
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