シリーズ第二作目は老剣士とのロードムービー。
前作よりも狂四郎のダークな一面を描くためか、監督には雷蔵氏とともにニヒル剣士の原点『大菩薩峠』をはじめ数々の傑作を手がけた三隅研次を抜擢。
ただ同監督の『剣』三部作や『座頭市』シリーズと比べ、彼の持つコンプレックスや悲しみといった視点から狂四郎のキャラクターをじっくり描くことはなく、先々で彼らの周りに起こる事件の解決や襲い来る刺客との戦いがメインの娯楽作品に仕上がっている。
監督自身、眠狂四郎には座頭市ほど感情移入できる要素はなかったのだろうか。
冒頭で狂四郎が倒した道場の門弟たちが、円月殺法を破るためにあらゆる方法を試すのが面白い。
誰に肩入れすることもなく、侍としての栄達も望まずにひとり生きていく狂四郎にはどこか不思議なカッコよさがある。これも『大菩薩峠』の机竜之介の要素を取り入れたがゆえか。