ヒートのまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

仕事にのめり込み家庭が崩壊の危機に瀕している刑事ヴィンセント、素早く高飛びをする為に大切な存在を持たない掟を自分に課している犯罪者ニール。対称的な世界に生きる2人だが良く似ている。自分の生き方に忠実になればなるほど幸福から遠ざかり孤独になっていく。2人ともその事を分かっていながらプロフェッショナルとして仕事に全てを懸ける。そこにお互い共感の様なものを感じたのだろう。中盤の対峙シーンは敬意と共感そして敵同士の駆け引きを見せる名シーンだ。しかしそれまで警察情報にも乗っていなかったニールにとって共感できるライバルを持つ幸福が敗北に繋がっているのは皮肉だ。同じように大切な女性を得る幸福が弱点になってしまう哀しさ。やがてそれも失う事になる。一方、ヴィンセントも家族を失う。ラストシーンでの唯一の理解者が敵同士だったという2人の姿は切なかった。哀しくも美しい男達の対決を描いた傑作。