アッバス・キアロスタミ監督作品。ジグザグ道三部作の第三作目。『友だちのうちはどこ?』の舞台となった街での映画撮影をめぐる物語。ひたむきですが拗らせ気味のホセインのキャラクターが非常によく立っていたように思います。
チョイ役出演でしたが、『友だちの〜』の主人公の少年も無事生存しており安堵。パナヒ君なる役があり、ジャファル・パナヒ監督も撮影現場の手伝いをしていたことが示唆されていましたが、弟子ですのでそれはそうかと納得したところです。なお、「地震で多くの人が亡くなった。あの村の霊魂に向かって挨拶してごらん。返事が来る」「かついだね。木霊じゃないか」のくだりは、日本昔話を想起させました。世界共通なのだなと。
ラストシーンがあまりにも素晴らしかったです。丘を這うジグザグの坂道を眺めるとき、キアロスタミ監督の三部作が頭に浮かぶことでしょう。オリーブの林を抜けて。とても良い作品でした。
日本語字幕・齋藤敦子、字幕監修・ショーレ・ゴルパリアン。