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トリコロール/青の愛のYYamadaのレビュー・感想・評価

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)
3.9
佳作!傑作!【外国映画のススメ】
『トリコロール』①

◆製作国: 🇫🇷フランス
◆製作年: 1993年
◆ジャンル: ヒューマン・ドラマ
◆受賞歴:
・第50回ヴェネツィア国際映画祭:
金獅子賞、女優賞、撮影賞
・第19回セザール賞:
 主演女優・音楽・編集賞受賞
・第51回ゴールデングローブ賞:
3部門ノミネート

〈見処〉
①フランス国旗「トリコロール」、
 本作が示す「青」は「自由の愛」
・『トリコロール/青の愛』(Trois Couleurs: Bleu)は、1993年製作のヒューマン・ドラマ。クシシュトフ・キェシロフスキ監督による「トリコロール」3部作の1作目。
・舞台は現代のフランス。交通事故により、高名な作曲家の夫と幼い娘を喪い、自らも重傷を負ったジュリー(ジュリエット・ビノシュ)は、傷心から郊外の家や夫が遺した未完の楽譜を処分。また、ある夜、ジュリーは亡夫の同僚で彼女に想いを寄せていたオリヴィエと一夜を共にし、パリへ去る。
・しかしながら、静かな一人暮らしの中でも、夫が遺した欧州統合のための未完の協奏曲の旋律が、ジュリーの脳裏に過る。そんなある日、処分したはずの未完の楽譜の写しをオリヴィエが持っており、彼がその協奏曲を完成させようとしているのを知る。そして、夫が見知らぬ若い女性と共に写っている写真も公開されていて…(wikipediaより抜粋)。
・「トリコロール」3部作は、それぞれ「自由(青)・平等(白)・博愛(赤)を象徴しており、本作は「青の愛」=「過去の愛からの自由」をテーマとした佳作。第50回ヴェネツィア国際映画祭では、最高賞である金獅子賞を受賞している。

②クシシュトフ・キェシロフスキ
・本作の監督は1941年生まれのポーランド人、クシシュトフ・キェシロフスキ。
・同郷のロマン・ポランスキーを輩出したウッチ映画大学を卒業後、ポーランドにて、複数の短・長編作品製作を経て、聖書の十戒をモチーフとしたTVシリーズ『デカローグ』にて1989年のヴェネツィア国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞し、転機となる。
・1991年には、製作拠点をフランスに移し、名前や容姿が全く同じ二人を描いた『ふたりのベロニカ』を発表。第44回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。
・1993年~94年にかけてフランス政府の依頼を受けて製作した『トリコロール三部作』の後、1996年に心臓発作で死去(享年54歳)。寡作ながら「運命」を想起させる力強い作品を世に出したキェシロフスキ監督の遺作が本シリーズである。

③結び…本作の見処は?
フランス政府の要請で製作された作品ながら、屈折した愛情を余すところなく描かれているところに、日本との国民性の違いを感じることが出来る。
◎: 指でなぞった楽譜に沿って奏でられるメロディーなど、本作の終盤に描かれるジュリーの脳裏に過る旋律の描写が大変素晴らしい。「新約聖書」のからの引用にあわせた力強い楽曲は、音楽映画さながらである。
○: 本作の後に『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)にてアカデミー助演女優賞を、また、世界三大映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア国際映画祭)全てで受賞経験を誇るフランスの大女優、ジュリエット・ビノシュが見せる「寛容の愛」は、本作に深みを与えている。
○: プールや楽譜ファイルなど「ブルー」の色彩が印象的な作品。
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