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愛についてのキンゼイ・レポートのRのレビュー・感想・評価

4.7
すばらしい!!! 最初から最後まで非常に興味深い映画だった。テーマは、性に対して大変保守的だった1920年あたりから、セックスについて大々的に科学的リサーチを行っていった、イリノイ大学の生物学の教授キンゼイのほぼ一生涯。元々は、昆虫、主にタマバチの研究を行っていたのだが、大学の要請で結婚と性生活についての大講義を開始。すると、授業外で、生徒の性生活の悩みを相談されたりし始める。そんな中、クンニしたら将来の子作りに悪影響を及ぼすという俗説はただの迷信だよ、と根拠やデータなしに説いたところで、独善的にモラルを説いたそこらへんの書籍と何も変わらないし、生徒に、私は性的にこうこうこうなんです、正常ですか?異常ですか?ときかれても、何が正常か異常かデータがないので断言できない。よって、人々の赤裸々な性生活を大々々的にリサーチして、何がノーマルであるのかを探ろうとする。非常に面白いメソッドで行われるリサーチの結果、婚前性行、婚外性行のみならず、同性愛、両性愛、さらには獣淫、近親相姦、幼児虐待など、経験者がすごい割合でいて、要は、これがノーマルだよ、みたいな枠組みはそもそも存在せず、多様性だけが真実である、ということが明らかになる。地球上に存在してるどんな動植物種とも同じで、同一の個体などいないのだ。このキンゼイ報告は、保守派の人々の逆鱗に触れる一方、社会が押しつけてきた「ノーマル」「アブノーマル」の枠組みに苦しんでいた数多くの人たちを解放し、彼らの救いとなる。私だけじゃなかったんだ、自分は異常ではないのだ、と。と同時に本作はキンゼイ氏がどんな人間であるかもじっくり描いてて、てかそっちがメインで、彼にとってセックスの研究は生物の研究とまったく同じ、セックスそのものは摩擦と快楽くらいの物理的な行為としか見なしてないので、研究員達と彼らの奥さんたちを交えてスワッピングさせたり、いろんな学術的探求をする。けど、当然他の人たちはセックスと感情がある程度結びついているため、そりゃ関係こじれるよねー。また、キンゼイ氏のなかには頑ななまでの純粋な科学的真理への探究心しかないけど、社会には根拠のないドグマを基にした道徳律が存在し、根強く人の倫理観に影響しているため、保守派からものすごい反発にあう。しかもキンゼイくん全然空気が読めない人なので、どんどん敵を作ってしまって、結果的に政治的経済的圧迫を受け、研究の存続を危機的状況に追い詰めていくことになる。客観的な生物学には強いけど、人間の主観やハートについては無知蒙昧なんですねー。そんな彼の側面が実に面白いし、魅力的だし、その性格だからこそこんな興味深い研究がなされたのも事実で、人間てつくづく難しい生き物だなーと思った。けどこれだけは真実だ!と強く思ったのは、画一とは殺すことであり、多様は生きること、生かすことである、ってとこ。みんなちがってみんないい。無理強いや傷つける行為は絶対的に良くない。僕が日ごろから最も大切にしてる思想です。ちなみに、日本バージョンやのにボッキしたチンコをマンコに挿入する画をモザイクなしでガッツリ見せる映画見たことないし、チンコ丸出しのピーターサースガードに心惹かれるリーアムニーソンという涙なしには見れないシーンもあり。ラストシーンでは深い感動が! 全人類に見てほしい素晴らしい作品!!! 是非に!
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