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日本のいちばん長い日のクレセントのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.0
ポツダム宣言をもっと早期に受諾していれば、長崎はもとより広島への原爆投下を防げたのではないか。当時の日本は知る由もなかったのだろう。

戦局は明らかに日本に不利に働いていた。陸軍を中心とする軍部中枢は、知っていても認めたくは無かった。むしろ国体護持を御旗に本土決戦に備えて余念が無かった。だから無条件降伏などありえない話であった。

米英中によるポツダム宣言、降伏通告に、日本の閣僚たちはこの難局に立ち向かうために協議を重ねた。しかし陸海軍部の閣僚たちとの意見の乖離は激しく、ゆえに天皇自らのご聖断を仰ぐしかなかった。

詔書の作成や玉音放送の段取りなど、すべてに多くの時間が費やされた。その挙句、近衛兵の青年将校たちによる反乱が生じ宮城占拠事件が起こった。すべてはまもなく収束したが国民は万感の思いで8月15日の玉音放送を聴いたのである。

50年前のこの作品は、昭和天皇が在位中であり、姿を見せることなく撮影が行なわれた。(3年前の新たな作品では、天皇の立ち振る舞いがスクリーンに映し出され、俳優の本木雅弘はアカデミー賞を授与された。)

僅か70年前に起こった日本の敗戦と無条件降伏という史実を知らなければならない。この作品は是非見ておく価値がある。
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