のん

日本のいちばん長い日ののんのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.5

原田眞人監督のリメイク版も大好き、というよりそっちから入ったクチなので、比較してどうこうというのは言いづらいのだが、リメイク版と決定的に異なるのは「時代の空気感」だろう。


1967年の公開だから終戦から20年あまり。役者も映画の製作スタッフも当然に戦争を経験しているためか、非常に生々しい空気をフィルム全体から感じることができる。


個人的に好きなのはタイトルロールが出るまでの20分間で、岡本喜八監督のテンポの良い編集でもって抜群に面白い。原田眞人監督版は原作とは別の書籍からも引用があり8月14日に至るまでのボリュームがそこそこあるのに対して、本作はポツダム宣言から8月14日までを一気に見せてしまう。



黙殺の翻訳が「無視」から「拒絶」になり、海外に広まるなど、目から鱗の話もあり、とにかく飽きさせない。


詔書の文言を巡って、閣僚が激しく激論を交わす場面は、人によってはひどく滑稽に映るのだろうが、官僚や行政の本質をよく捉えていて、ここが実は作品の肝なのではないかと思う。


次は『沖縄決戦』を見ようかと思います。
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