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フォレスト・ガンプ/一期一会のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

4.3
監督ロバート・ゼメキス、脚本エリック・ロス、原作ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』。ひょうたんから駒、偶然から幸せを引き寄せる、青年の物語。

「フォレスト」は、白人至上主義のKKKの結成者、ネイサン・ベドフォード・フォレストから。「ガンプ」 はアラバマ州の方言で、「うすのろ」「間抜け」「愚か者」を意味する。

人より知能指数は劣るが、純真な心と恵まれた身体、母への愛とある一人の女性への一途な思いを持ち、心ない人からは嘲りを受けつつも、それ以上に良き心を持つ周囲の人々の協力を受けて数々の成功を収め、同時に幸福を周囲にもたらしていく「うすのろフォレスト」の半生を、アメリカの1950 - 80年代の歴史を交えながら描いたヒューマンドラマ。

フォレスト(トム・ハンクス)は、周囲より知能の低く背骨の歪みから脚装具を付けないとまともに歩けなかった。母親は息子を普通の子と同じように育てたいと考え、女手一つで公立小学校への入学を勝ち取る。バスでは、ジェニー(ロビン・ライト)だけ隣の席を開け仲良くなった。

いじめの標的にされるも逃げる内に走れるようになり、たまたま、試合中のアメフトのコートに入ると、コーチにその俊足ぶりを見込まれ大学のフットボールチーム、全米代表になりホワイトハウスでケネディ大統領に面会する機会をも得た。ベトナム戦争では、軍人ダン・テイラー中尉(ゲイリー・シニーズ)と出会い、俊足を活かして多くの仲間を助け、療養中の暇潰しに卓球を始めると瞬く間に才能を発揮し、全米チームに。

歴史上の人物と会話してるかのような映像技術VFXの連続、足のないダン中尉の姿にも驚く。足の速さを活かして新しい才能を次々に引き寄せたり、出会いの中でお金が増えていく。「バッバ・ガンプ・シュリンプ」、「果物の会社」(ベンチャー企業時代のアップル)への投資。ジェニーから贈られたナイキのスニーカー。

ひょうたんから駒、偶然から幸せを引き寄せる力を、セレンディピティと言う。英国の小説『セレンディップの3人の王子』という童話にちなんだもの。セレンディップとはセイロン島、現在のスリランカのことであるから、すなわち、題名は「スリランカの3人の王子」。そこでは、ドラクエのように、次々と仲間に出会えたり、キーアイテムを発見する。

科学の世界では、アルフレッド・ノーベルによるダイナマイト、キューリー夫人のラジウム、ヴィルヘルム・レントゲンによるX線、ファイザーによるバイアグラ、青かびが混入したペニシリン、ポストイットなど。失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつく。

時には、部屋に閉じこもってお酒を飲んだり、泣いたり、ボーっとしたい時もある。でも、心が晴れたら外を歩き、素敵な音楽に触れたり、お店にいったり。こういう夢と心構えがあったり、素直な心、積み重なっていく才能や力があると、新し出会い、発見がある。
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