何も変わらず雄大に流れる阿賀野川と、悠然とそこに流れる時間の中には、もうあの人達の姿は存在しない。あんなに賑やかだった風景はひっそりと静まりかえり、主人を無くしたヤカンはふつふつと独り言を吹き上げる。10年の間に消えて行った魂が、時折強い光の奥に見え隠れする。過去と現在の記憶の交錯、悲しみも癒えたこの土地に、新たな寂しさが満ちていく。軒先に吊るされたままの干し柿、居間の奥の仏壇、荒れ果てた田圃に張られたスクリーン。佐藤真の銀河鉄道の旅、阿賀のSELF AND OTHERS、彼がこうまでカメラの先の不在に目を向けたのは、自分自身が存在しているかどうかに対する不信の投影の様な気がしてしまう。