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パンダコパンダのbackpackerのレビュー・感想・評価

パンダコパンダ(1972年製作の映画)
3.0
"汝宮崎駿の性癖を堪能せよ"

公開50周年を記念し、Filmarksが主催した2週間限定リバイバル上映にて鑑賞してきました。
幼少期から何度も見てはいますが、スクリーンで見るのは初めて。また、前回鑑賞してから10年以上間が空いている事もあって、新鮮かつ懐かしい気持ちで見ることができました。

改めて見て思うこと、それは、宮崎駿の性癖がこれでもかと如実にあらわれていた事への驚きです。
原案・脚本・画面設定が宮崎駿なんですから、当然っちゃ当然ですが、まさかここまでハッキリ出てるとは……。
純粋だった子ども時代は、ただカワイイと楽しんで見ていられましたが、パヤオの個人的嗜好等のアレコレに関して知識が増えるにつれ、否が応でも目についてしまうわけです。パヤオおじさんの欲望の発露が……笑

本作主人公のミミちゃんのキャラクター性を考えてみても、非常に癖の溢れ出た造形ですよね。例えば、
・主人公は子ども好きでファザコンな幼女
・家事万能で母性溢れ、自立している
・両親はいない(肉親は祖母(=老人)のみ)
その他諸々、後のパヤオ作品のヒロインの構成要素ざ、既に殆ど完成していることが伺えます。
そんな理想の幼女(女性像)が愛してくれる存在は、顔デカ口デカ咥えパイプのパパンダ=明らかにパヤオご本人の投影です。
自分の癖を子ども向け作品の中に落とし込む(それもそうと思わせないように!)手腕。う〜ん、実に変態ですねぇ。

最終的に水場がクライマックスになる展開といい、こりゃー殆ど『カリオストロの城』と変わりませんね。山田康雄さんがお巡りさんの声を当てていたのは記憶にありましたが、内容の類似点からして、益々ルパンっぽく見えてきます笑

同じテーマを、手を替え品を替え、徹底的に掘り込む。まさしく映画監督の作家性なわけですが、繰り返し描かれる剥き出しの性の奔流に、一体何を思えばいいのか……。
そういえば、次作の『パンダコパンダ雨降りサーカス』も、本作と殆ど同じ展開ですね。こんなに近似の内容が連続して描かれてるなんて、驚きです。
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