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ガメラ対深海怪獣ジグラのbackpackerのレビュー・感想・評価

ガメラ対深海怪獣ジグラ(1971年製作の映画)
2.0
◾︎ガメラシリーズ第7作

【作品情報】
公開日   :1971年7月17日
作品時間  :88分
撮影    :大映スコープ
監督    :湯浅憲昭
製作    :永田秀雅
脚本    :高橋二三
音楽    :菊池俊輔
特撮監督  :湯浅憲明(兼任)
出演    : 坂上也寸志、グロリア・ゾーナ、八並映子、佐伯勇、アーリン・ゾーナ、坪内ミキ子、藤山浩二、夏木章、ほか

【作品概要】
大映が71年12月に倒産したことに伴い、所謂"永田大映"の最後のガメラ作品となった。
そもそも大映が破綻した原因としては、政界進出を目論むワンマンオーナー永田秀雄の放漫経営によるところが大きい面もあり、残念なことである。
74年からは、徳間書店による経営統合に伴い、所謂"徳間大映"の下、大映映画株式会社という新法人として再出発する。

閑話休題

71年7月24日に、ライバル東宝の『ゴジラ対ヘドラ』公開に先立ち、7月公開された本作。
なんと『ゴジラ対ヘドラ』同様、当時深刻な社会問題と化していた公害問題を取り入れており、「同じテーマを軸に据えながらこうも違う作品になるのか」という点でも興味深い。

併映は『赤胴鈴之助 三つ目の鳥人』。


【作品感想】
なんと言うか……シリーズで一番微妙。
鴨川シーワールドの広告宣伝映画であることはさておいても、どうにも難ありな内容です。

宇宙からの侵略者ジグラ星人の主張が、侵略者としては理に適っているジャイアニズムに溢れているのですが、主張すればするほど残念感が強くなるのは、どうにも哀れですね。
「ジグラ星は自分たちが公害で海を汚して住みにくい」
「人類は俺の餌にするからあんまり殺さない(けど、地上ではろくに活動できない)」
「マグニチュード12の地震(‼︎?)で世界各地を大破壊してやったぜ」
「俺の都合で侵略に来たけど、てめーらに宇宙船ぶっ壊されて頭にきたわ。水圧も違ってめっちゃ身体デカくなったし、復讐として世界は俺のもんだ」
「地球の海は最高に綺麗だから、俺みたいな美しいやつが支配した方がいい」
んもー、なんなんやコレ。

ジグラとの戦いは全て行き当たりばったりで、あまりにもやっつけ展開が酷すぎますし、子ども達が船に潜り込んで……とか、ジグラ星人に洗脳されて……とか、きゃー助けてー!と逃げ惑いまくる……とか。
とにもかくにも、同じことを何度も何度も繰り返して、ひたすら飽きました。

そもそも、「あっ!ガメラだ!」「ガメラー!助けてくれー!」「ガメラ頑張ってー!」というお決まりの文句も、前作から引き続き過剰です。


ジグラ星人に操られていた"菅原ちか子"という人物(演:八並映子)は、当時としては美人お色気枠だったということなんですかね?
正直、特徴的なお顔立ちではありますが、役所があんまり似合ってない……。
この女優さん、60年代後半から70年代前半にかけて大映が作っていた、「大映ハレンチ路線」に登場した新スターだったらしく、子連れのパパさんへのサービスだったとかなんとか。
軸がブレているぞ、湯浅監督……。
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