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ファンタズム IIのhorahukiのレビュー・感想・評価

ファンタズム II(1988年製作の映画)
3.5
『ファンタズム』シリーズ二作目!
前作はわけわかんない不条理ファンタジーでしたが、今作はアクションを取り入れた(割と)わかりやすい作品へと大変身。共通の痛み・目的を持つオッサンと若者のバディ映画としても擬似親子映画としても楽しめるものになってました。

前作から10年近く経って発表された続編。前作の主人公であるマイク少年のお兄ちゃんのお友だちだったレジー役レジーバニスターが本作でも続投しており、今回は主役級の活躍を見せてくれます。前作の段階で既に後頭部まで綺麗に禿げ上がっていた髪型が今作でも全く変わってないため、約10年の(頭部的な)加齢を全く感じさせない役者魂に感服いたしました。

「幻想・空想」と形容するのが最もしっくりくる脈絡のない意味不明さが魅力だった前作から大きく方向転換を果たし、本作では物語上の本筋がしっかりと存在している。

見ず知らずの女子エリザベスがトールマンに命を狙われていることをテレパシー的なもので感じ取った若者マイク。そして家族を失った復讐を果たそうとする冴えない中年おじさんレジー。この2人がトールマンを退治するためにエリザベスを目指す旅をするというのが本筋。悪夢のようなトールマンという怪物に向かって、朝日をバックに荒野を車で駆け抜ける映像が2人の断固たる決意を表すかのようでワクワクした。

トールマンが通ると街は荒廃しゴーストタウンとなる。トールマンを追いつつ、廃墟となった街で武器を調達&製造して対決の準備を整えるのが青春アドベンチャーのようで楽しいし、みんな死んじゃって誰もいないのにしっかりレジの中に代金を入れるレジーおじさんの律儀さに笑った。

しかも2人が製造する武器というのが、火炎放射器と四連ショットガン(ショットガンを4つ横に繋げてトリガー引くと四発分一気に発射できるヤツ)。もうワクワク要素しかない!この四連は以降のレジーおじさんの固有武器になります。今作でもぶっ放すシーンの爽快感が凄くてカッコよかった。

『地獄のモーテル』を思わせるチェーンソーvsチェーンソーの死闘が本作でも繰り広げられる。しかも敵側のチェーンソーがデカくて長い!『マンディ地獄のロード・ウォリアー』の感想で『地獄のモーテル』を思わせるシーンだと書きましたが、そちらよりも間違いなく本作の方にオマージュを捧げてますね。

そしてその他にも印象的なシーンが多い。トールマンの超能力により逆十字となるペンダントとか、まるで運命の人と出会ったかのようなケミーとの初対面シーンでのスローモーションとか、耳チョンパする銀玉とか、テレパシーでの愛の告白とか、火葬の際に覗き窓から見える爛れた手とか。眼球ボンッ!も最高!

兄を想うが故の少年期の抵抗を空想として描いたのが前作だったとすれば、19歳となったマイク少年を描く本作は、どこかにいるはずの自身の運命の相手へ想いを馳せる青春期の空想を映像化した作品といったところでしょうか。その運命の相手を探すために旅をして、彼女の命を狙うものから命を賭けて彼女を守るという青臭いところがマイクらしくて可愛い!

前作でもそうだったのですが、本作で「はぁ!?マジかよ…」と声が漏れてしまうようなラストシーンがお決まりパターンとなります。そして次作の冒頭でそれを裏切ってくるというのもセットで定番化します。ドンコスカレリ監督は良くわかってらっしゃる(笑)
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