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トレインスポッティングの小のレビュー・感想・評価

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
3.7
本作の続編となる『T2 トレインスポッティング』はノーマークだったけれど、なんか評判よさげ。オマケに「丸の内ピカデリー爆音映画祭」で本作とともに上映するというので、両方鑑賞することに。

スコットランドを舞台にヘロイン中毒の若者たちの生態を、生々しく描いたドラマ。キャラクターは全員クズで、やることはめちゃくちゃ。幻覚、暴力、セックス、盗み、裏切りとなんでもあり。メッセシージ性はあるようなないような…。「若者だから」でオッケーな感じ。

この映画の個人的称賛ポイントは、ドラッグ中毒による幻覚を表現する斬新な映像感覚と、ハードでポップな音楽。爆音で聴く音楽はビリビリ感が強くて良い。

上映開始後しばらくしてからの食欲減退シーンとドラッグ断ちの幻覚シーンは、20年後でも覚えているであろう強烈なインパクト。

ただ、ドラッグの題材ではノリにくい自分がいる。スコットランド社会のどんよりとした空気に少しだけ風穴を空ける感じや、クズな若者達の青春ドラマ的な感じもあるのだけれど、意志が強いようには見えない彼らが、ドラッグを断ち切れるとは思えず、未来を感じられない。

芸能人などのドラッグ関連のニュースを目にすることが多く、それによって一度でも使用すると社会的制裁を受け復帰するには大変な困難が伴うこと、中毒になるとよほどの覚悟がない限り再びドラッグに手を出してしまうことなどが、強くインプットされているからだと思う。

もし、公開当時に観ていたとしたら、自分のドラックに対する危険性の認識が今ほどではなかっただろうから、強烈な映像に驚愕して、単にスゲー映画観ちゃったと思ったに違いない。

ドラッグの危険性は一時保留してバカ騒ぎを楽しむというのがより良い鑑賞態度なのだろうと。 映画は現実ではなく映画である、ということが腑に落ちていないようでは悟りにはほど遠いなあと、と思った作品。
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