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アメリカン・ビューティーのBeSiのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
4.8
アメリカのとある中流地帯で家庭を営む人々の崩壊を描く物語。この映画を観て「平凡」というものが、いかに脆くて危ういかを酷く痛感した。人前では仮面夫婦のように振る舞い、裏ではとてつもなく仲が悪い。これで済めばまだ良いのだが、「幸福」と「自由」を手に入れた事をきっかけに大きな代償を負う事になる。完璧とは程遠い人生を送ってきた人間がこれらを手中に収めてから変貌するに至るまでの過程は実に早く、これこそ一般的な人間の本性と言える。娘の友達に恋をする。自分と同じ個人主義者と不倫関係を持つ。どこか奇妙だが魅力的な人物に惹かれていく。それぞれが「幸福」と「自由」を手にした事で自分達の「平凡」な日常が狂い出す。これは他人事ではない。もし自分がこうなったらと思うと恐ろしくてたまらない。人より劣っているからと言って貪欲になってはいけないのも大切だ。また、「美しく在る事が幸せなのか?汚らしく在る事が不幸なのか?」という直接的な事を問いかけるような高揚感溢れる演出にも見入った。生きる上での「幸せ」とは何なのかと見出そうとする人間の本質に迫る作品。アカデミー賞最優秀作品賞その他4部門受賞、ゴールデングローブ賞3部門受賞の快挙も成し遂げた傑作。
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