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フォーリング・ダウンのbackpackerのレビュー・感想・評価

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)
4.0
猛暑の中、遅々として進まない渋滞に捕まった男Dフェンスは、車を降りて歩き出す。「家に帰るんだ」と言い残して。

社会への積み重なる不満、娘の誕生日を祝いたい、ただ家族に会いたい、それだけのことなのに、それが何より難しい。

アジア系の店員に値段が高いと怒りを告げ。
不良からの理不尽な申し出にはバットで答え、逆恨みで追ってきたので、彼らの持っていた銃を頂戴する。

ハンバーガー屋では朝食の時間を5分過ぎたことでランチしか出さない店長に切れる。
注文後は、写真と実物の違いに不平を言う。誰しもが思っていることだ。よく言った。

電話ボックスを撃ち壊し、軍需用品払い下げ店のナチ親父には死の鉄槌をもってアメリカの自由を説く。

予算消化目的の無駄な道路工事が渋滞を引き起こしている。不満はロケットランチャーで解決。

ゴルフ場の富裕層老人には広大な敷地は家族で来れる動物園にすべきと吐き出し。
隣家の美容整形医宅を管理する男の家族には、自分の家族に会いたいことを切々と語る。

愚直なまでの家族愛。
真っ直ぐ過ぎる為に、立ちはだかる者には一切の容赦がない。
それでも、彼の行動には一本筋が通っている。
ただ、家族に会いたいだけ。

家にたどり着き、昔のビデオを再生するDフェンス。
一貫して家族への愛を露にしているのに、過激な行動のためうまくいかない。

そして、止めの一撃。
泣けるなぁ。サイコな行動の男であっても、愛だけは何物にも変えがたい。
力強過ぎる家族愛の、1つの極致を描いた傑作だと思います。
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