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ブレイドのYYamadaのレビュー・感想・評価

ブレイド(1998年製作の映画)
3.6
【ヴァンパイア映画のススメ】
『ブレイド』(1998)

◆本作のポジショニング
 人類 ←← (捕食) ←← ヴァンパイア
  ↓         ↑ 
 (共存) →→ 混血 →→ (征伐)

〈見処〉
①最強のヴァンパイア・ハンターは、
 混血児!大ヒットシリーズ第1作
・『ブレイド』は、1998年制作のホラーアクション。
・本作の舞台は現代のアメリカ。人類は、闇に隠れながら存在するヴァンパイアと共存関係を築いていた。
・一方、人間とヴァンパイアの混血として生まれた黒人の青年ブレイド。
人間の老人ウィスラーと共に吸血鬼ハンターとして活動し、日光の下で活動出来る彼を、ヴァンパイアは「Day Walker」と呼び、恐れられていた。
・純血のヴァンパイアではない若き野心家のフロストは、古文書「マグラの書」を解読し無敵の力を得ることで、人間との共存状態を抜け出し、自らを頂点としたヴァンパイアによる世界制覇を目論んでいた。ブレイドとフロスト一派との激闘が幕を開ける…(Wikipediaより抜粋)。
・本作は、人間とヴァンパイアの混血として生まれてきた黒人ブレイドが、スーパー・ヒーローとして活躍するSFアクション。

②元祖「マーベル映画」
・本作の原作コミック発行元「マーベル・コミック」は、第二次対戦よりも前の時代から、沢山なヒーローキャラクターを産み出してきたが、長年に渡る出版事業により、1996年12月に破産手続きを申請。後に紆余曲折を経てウォルト・ディズニーに子会社化されることになるが、同時期の経営破綻時に、マーベルが保有する複数キャラクターの映像権を大手映画プロダクションに売却している。
・大手プロダクションのうち、20世紀フォックスは『X-MEN』(2000~)を、コロンビア映画(SONY)は、『スパイダーマン』(2002~)をシリーズ化を前提にマーベル・キャラクターの登用を決断した背景には、
1998年にニューライン・シネマが他社に先駆け制作した本作が大ヒットを記録した影響は決して少なくない。
・本作のヒットが、のちに『スパイダーマン』によるアメコミ原作ブームをもたらし、『アベンジャーズ』に繋がる流れを作った記念碑的な作品と云える。

③元祖「VFX映画」
・本作のヒット要因となる激しい格闘シーンは、ウェズリー・スナイプスによる超人的な身体能力とともにVFX(ビジュアル・エフェクツ)によるところが大きい。
・本作にてクローズアップされたVFXは、撮影現場での効果を「特殊効果(SFX)」と呼ぶのに対し、撮影後のポストプロダクション段階で、コンピュータグラフィックスまたは合成処理によって実写映像を加工する
視覚効果を総称することが多い。
・『マトリックス』(1999)、『SW/ファントムメナス』(1999)、『スパイダーマン』(2002)、『トランスフォーマー』(2007)など、後にVFXを駆使せた傑作映画が多数制作されることになるが、本作がその流れを作った記念碑的な作品と云える。

④結び…本作の見処は?
ヴァンパイア素材とアクションを結び付けた画期的な作品。
◎: ウェズリー・スナイプスによる驚異のハイ・スピード戦闘シーンは、公開から20年以上経った現在の作品と比べても遜色ない、素晴らしいアクション。
○:「血清を打ち、本能の渇きを抑える」。マーベルコミック由来の混血児ハンターは、ヴァンパイア作品として個性的なキャラクターとして魅力的に描かれている。
○: 本作に登場する、ヴァンパイア退治のガジェット武器の数々は、本作の脚本家デイヴィッド・S・ゴイヤーが後に脚本を手掛けることになるクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』シリーズのバットマンを見ているようで、なかなかユニーク。
▲: ブレイドのキャラクターとアクションに作品の魅力が偏り、そのストーリーは観賞の翌日には忘却してしまう平淡なもの。
▲: 当時は画期的であった本作のVFXは、現在の最新テレビゲーム並み、いま見るとリアリティーに欠ける。
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