ハマジン

肉の蝋人形のハマジンのレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1933年製作の映画)
4.0
『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』を観たときにも感じたが、マイケル・カーティス、階段の撮り方がめちゃくちゃに上手い。中盤のジグザグ形から終盤のゆるやかならせん状まで、劇中2段構えで登場する地下室へと続く階段の造形/フレーミング/役者の動かし方すべてが優れている。その陰影のつけ方にはドイツ表現主義の影響も感じた。
放火事件のせいで両手まで焼け爛れ、芸術活動を断たれた車椅子生活の蝋人形作家ライオネル・アトウィル、「おいたわしや…」と半ば同情目線で何となく見ていたところ、クライマックスでいきなり車椅子をぶん投げ全力疾走で階段を駆け上りつつ、警察と殴り合いの末煮えたぎる蝋の桶に転落して絶命。その激烈なアクションに映画から「舐めんなよ」と中指立てられた気がし、瞬時に居住まいを正した。
裏地の黒を大きく見せた広い襟が目に鮮やかなコート、ヒョウ柄ファーコートに同柄のマフラーなど、プレコード時代ならではのモダンな衣装の数々をバチバチに着こなして颯爽と歩き、上司や顔馴染みの警官たちと際どいジョークを早口でかます女性新聞記者グレンダ・ファレルに惚れる。
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