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風に逆らう流れ者のMOCOのレビュー・感想・評価

風に逆らう流れ者(1961年製作の映画)
1.5
「野村(小林旭)さんずっと居てくださるでしょ、この土地に」
「居るとも、君(浅丘ルリ子)のお父さんとも、坊やとも約束しただろ」


 日活の特撮技術の未熟さが露になる塩沢火薬の研究所の大爆発シーンから始まり、流れ者野村浩次(小林旭)が、男の子に三人の暴漢に襲われる女性(浅丘ルリ子)を助けてと頼まれ、鞭で暴漢を退治する・・・という、妙な滑り出しで始まる『流れ者シリーズ』最終話です。
 鞭ですよ、鞭!

 野村浩次はウエスタンスタイルのような出で立ちですが、赤と黒のツートンカラーの皮のベストを着て鞭を振り回し、宿泊先の男風呂では温泉につかりながら女風呂にまで届く大声で「ダンチョネ節」を歌います。

 藤村有弘が十八番の変な言葉の中国人で登場するのですが、宍戸錠演じるライバルのエースのジョーは残念ながら登場しません。

 流れ者野村浩次は、親友瀬沼に会いに5年振りに豊橋市(愛知県)へやってきます。
 瀬沼の勤める塩沢火薬株式会社を訪れると、瀬沼は仕入れた火薬の横流しの発覚を恐れ研究所を爆破して自殺したと説明されます。

 野村はキャバレーで酔いつぶれた中年の男を助け三谷温泉『ふきぬき』に連れ帰り、冒頭襲われた瀬沼杏子(浅丘ルリ子)と信夫に再会します。   
 酔いつぶれた男は近くの島を所有する瀬沼の父で、冒頭助けた女性はその娘=友人の妹です。男の子は友人の息子で産むと同時に亡くなったとされている奥さんは、塩沢火薬の社長の妹で実は健在、塩沢社長は悪党で妹は無理やり別れさせられているのです。

 塩沢家と瀬沼家は親戚関係にも関わらず、塩沢社長は妹の旦那さんの父親の島を手に入れるため島を担保にお金を貸し付け、島を取り上げ爆弾製造工場を作ろうとしているのです。挙げ句、娘まで手込めに・・・。

 違法で爆薬を作る塩沢は謎の中国人に「お宅の火薬に私の火薬を混ぜれば威力倍増」と持ちかけられビジネス成立、塩沢は疑いながら用心棒として雇った野村を消しにかかります。

 友人瀬沼の家族を救うべく大暴れするのが野村というわけです。火薬倉庫の闘いになるから銃ではなく鞭だった訳です。なのに塩沢の手下は拳銃撃ちまくり大爆発が・・・。
 
 塩沢の悪事を暴き、親友の汚名を晴らし、お父さんは息子の仇をうって、子供と母親を巡り合わせた流れ者の野村は「この町に残る」などと言いしっかり安心させておいて祭りの最中ギターに置き手紙を添えてどこかへ消えていくのです。
 それだけのお話です。そう言ってしまえば身も蓋もないのですが、小林旭さんの映画で奥深い感動を期待してはいけません。こんな映画ばっかりです。

 必殺シリーズで藤田まこと氏演じる中村主水に「婿殿〰️」って苦言を呈する菅井 きんさんの横に座っている白木万里さんが、藤村有弘氏演じる謎の中国人が想いを寄せる女性を演じているのですが、この頃の若い白木万里さんは、大抵悪党側にいるのですが中立というか主人公を助ける役どころが多く、ちょっと尖ったニヒルな感じです。今回も野村を助けるため拳銃の腕前を見せ塩沢の部下を見下すカッコいい女性を演じています。

 くどいようですが、何故か小林旭氏の主演映画は感動を与えてくれる名作はありません。
 レビューしている方が少ないから、観れないよりは観れた方が良いけど、正直どうでも良い作品でした。

 余談ですが、若い頃の菅井きんさんとタレントの大久保 佳代子さんって激似と思いませんか?
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