わたがし

Returner リターナーのわたがしのレビュー・感想・評価

Returner リターナー(2002年製作の映画)
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 しんどかった。SFもアクションも全部上澄みで、ただ豪華な同人誌的なものを観せられている気分になる。ゴジラでも思って今回はっきり思ったのは、やっぱり山崎貴という人はすごい映画オタクなんだろうなということ。いろんな映画観て「俺もこういうの撮りたい!!」以上の思想を何も感じない。共感性羞恥もあるかもしれないけど観てて非常に厳しい気持ちになった。
 サイエンスフィクションに触れてワクワクゾクゾクしながらもサイエンスの本質に触れたような感覚になって、じゃあ自分もゼロから自分なりのサイエンスフィクションをやろうみたいなのがなく、ただただ純粋に"サイエンスフィクション"だけをやっている。タイムトラベル的なもので人が未来からやってきて、宇宙人的なものと接触して絆的なものを感じる。全部「的なもの」でしかなく、こういう才能を三丁目の夕日みたいな企画とぶつけて大衆娯楽としての「昭和的なもの」「人情の温もり的なもの」を描かせたプロデューサーの着眼点は本当にすごいなと思った。
 カメラワークがずっとフラフラしてるのもよくわからないし、編集がズタズタでストーリーの視点が混乱する。でも2002年の日本映画で、この規模感の世界観をVFXとデカロケ地で描き出そうとする、その無謀さにはちょっと感動する。いくら二次創作だろうが何だろうが山崎貴はこういうプロジェクトを成し遂げた側の人間で、最終的にはアカデミー賞を獲った側の人間なんだと思うと今こうしてリターナー腐してる自分は何なんだとなってくるね。山崎貴は偉大。映画オタクの希望。
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