タケオ

デビルズリジェクト〜マーダーライドショー2〜のタケオのレビュー・感想・評価

5.0
前作『マーダー•ライド•ショー』(03年)がサイケかつパンクな『悪魔のいけにえ』(79年)だとしたら、本作は『俺たちに明日はない』(67年)や『ワイルドバンチ』(69年)といった作品へのオマージュに溢れたアメリカン•ニューシネマ版『悪魔のいけにえ2』(86年)だ。だが、本作が単にアメリカン•ニューシネマの名作をサンプリングしただけの作品かというとそれは違う。クエンティン•タランティーノの『デス•プルーフinグラインドハウス』(7年)のように監督のジャンル映画への「偏愛」が極まりすぎた結果、ジャンル映画史に残る「新たな傑作」が生まれてしまうという<奇跡>がこの映画でも起きている。つまり本作は、21世紀にアメリカン•ニューシネマを蘇らせてしまった衝撃作なのだ。キチガイ殺人一家VS復讐に燃えるキチガイ保安官という構図は『悪魔のいけにえ2』のままだが、両者の対立を通して「善悪二元論」を否定することで鑑賞者に強烈な問いを投げかけてくる。「自由とは何か」と。法も倫理観も超越した「根源的な自由」を謳歌しまくった殺人一家の最期の花道は、レーナード•スキナードの『フリーバード』(73年)の鮮烈なトリプル•ギターとも相まって実に劇的で感動的なものとなっている。「真の自由」に生き「真の代償」に散った殺人一家よ、永遠なれっ‼︎‼︎
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