武州佐野の次郎左衞門は、律気で真面目な商人として平凡な一生を終えるはずだったが、生れながらの醜い痣が彼を悲劇の主人公に仕立てたのである。百姓次兵衞夫婦の手で育てられた捨て玉の次郎左衞門は、…
>>続きを読む明治二十三年頃、北陸一帯を巡業する見世物の中に、今評判の水芸の太夫“瀧の白糸”がいた。美人で勝気な男勝りで通っている白糸が、一日の興行を終え、浅野川の辺りでホッとした時間を過ごしていると、…
>>続きを読む延暦19年。悪路王率いる反乱軍が陸奥の一角で蜂起し、都へ戦火を広げる勢いに。平和国家の建設に向かったばかりの大和朝廷は無防備同然。反乱軍相手に戦える小田の武麿を密使として派遣し、彼に一縷の…
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