タケオ

チャイナタウンのタケオのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
4.4
本作を初めて鑑賞した時は、"凄い"という言葉でしかこの作品を形容することができなかった。

何が凄いかと聞かれると非常に困る。
何もかもが完成されすぎているからだ。

巨匠ロマン•ポランスキー監督は本作を製作するにあたってジャック•ニコルソンやフェイ•ダナウェイといった超実力派俳優陣をキャスティングすると同時に、「マルタの鷹」などの作品の監督として知られるジョン•ヒューストンを重要キャラクターとして起用するなど冒険心に富んだ配役を行なっているが、その全てが完璧に作用していることには驚かさた。

哀愁漂うダンディな雰囲気を纏ったジャック•ニコルソンの力強い演技やフェイ•ダナウェイの美貌と実力双方を満遍なく活用する繊細な演技はもちろんのこと、ジョン•ヒューストンの太々しい貫禄が濃密な人間ドラマを存分に盛り上げる‼︎

また、緻密な脚本と丁寧に張り巡らされた伏線の数々が鑑賞者を魅了しグイグイと物語に引きずり込む‼︎

アカデミー賞10部門ノミネートと聞いても何も驚かないし、なぜ脚本賞しか受賞できなかったかが不思議なくらいだ。

全編を覆うフィルムノワールを彷彿とさせるような虚無感も堪らないし、あまりにも苦すぎる結末が生み出す余韻も非常に味わい深い。

水が乏しい乾ききったロスを舞台に、強大な陰謀に立ち向かう無力な探偵と傷を負った女の物語。

あまりにも残酷、あまりにも非情。
だからこそ巨悪へと反抗するマイノリティが果敢ない輝きを放ち、私のハートを鷲掴みにするのだろう。
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