140字プロレス鶴見辰吾ジラ

花とアリスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

花とアリス(2004年製作の映画)
4.3
三角関係というかコンニャク関係
なんか、こうシュークリームみたいな…

好きなタイプの映画

いきなりドキュメンタリーチックなカメラワークから始まって、それもザラついた感じのあるフィルムで、会話も程よくたどたどしくして、日常の一幕の延長線上に位置してるみたいで、なんつーか、こう…不安定な安定感?安心感?そんなこんなで見る側が非日常に行くんじゃなくて、向こう側から日常がはみ出てくるみたいな…

そりゃ、シュークリームみたいに、ちゃんとバランス考えて食べないとクリームが溢れるからもっと大事にワンシーンみないとって思わせる絶妙な均衡状態。

それでいて音楽は幼稚っぽくもあり背伸びした感もあり、気だるい会話劇が中にあって、安心して身を委ねられるようや雰囲気にホッとして、壊れそうな気もするから不安になって緊張して、でももっと見せて欲しいと切に願うし、切なくなるときも時折ある。

あくまで日常の延長線上から仕掛けられるから、役者より花とアリスが愛おしくなって、抱きしめたいし、抱きしめられたく思う。そんな調子で日常の延長線上に没入するから、阿部寛が不意に出てきても新鮮に見えるし、平泉成はいい父親で、日常と同じラインにいてくれるような心地よさを感じる。

出てくるキャラの可愛げやイノセント性や腹黒い部分や、気だるくでもぎこちなく純粋な部分が生暖かくて人間味があって、だから目が離せないような、そんなエネルギーでずっと見ていたくなるから、溢れないで欲しいから大事に大事にワンシーン見ようと思える作品。

岩井俊二、怖い…つって。