horahuki

インビジブルのhorahukiのレビュー・感想・評価

インビジブル(2000年製作の映画)
3.5
神は俺だ!

実験うまくいかなくて「クソ!」、美女の着替え覗けなくて「クソ!」。後者の方により本気度を感じさせるベーコンさんがエロいことするために透明化技術を開発する話。実際に後者の「クソ!」の直後に11ヶ月解けなかった謎の答えを閃くあたりに、世界はエロで回ってるんだなってのを実感させられる😂

「ダビンチは睡眠なんか時間の無駄だと言ってる」と言いつつ、寝る間も惜しんでエロいイタズラに勤しむベーコンさんからはダビンチへの敬意をビンビンに感じた🤣そんなベーコンさんを主演に据えた本作では、透明化してからはエロいことに自身の科学者としての知識と技術を全投入し始め、元に戻る研究を一切しなくなる。そこが過去作とは違うところ。

ホエール監督のオリジナルもウェルズの原作も元に戻れない苦悩に悩まされる主人公を描き、戻れないからこそ精神に異常を来たしていく。ホエール版は薬の副作用という人間への優しさを感じさせる甘さがあったけれど、本作では元に戻る実験の失敗からも悲哀を感じさせず、道を逸れたアウトローとしての生き方に惹かれているような一面すらのぞかせる。

類まれなる才能を持っていたとしても、自身が権力者として君臨できるのは地下の狭く限られた空間のみ。表に出ればアホで無能な高官たちが自分の手柄を吸い上げて社会に権力者としてのさばる。アウトローと書いたけれど、ベーコンさん演じるセバスチャンケインというキャラクターは、そんな自身を利用し搾取する無能支配層へ冷たい視線を送るアナーキーな側面が非常に大きいのではないかと思った。多分セバスチャンの頭の中のエロ:アナーキーは9:1くらい😂うん!かなりの割合占めてる!!🤣

透明化から元に戻ろうとすることが社会に対する反抗であったオリジナルや原作とは違い、戻らない選択が反抗となる本作は、過去作よりもペシミズムな要素が強い。ヴァーホーヴェン監督作はそれほど多く見ているわけではないけれど、透明化という最も露骨なアイテムを使いつつも、最も主張を(エロで)覆い隠した本作は確かに物足りなさを感じた。歯止めが効かない欲望も勿論大事な要素ではあるのだけど、透明化という(社会的)存在の希薄化から導き出される枝葉のひとつに過ぎない。彼の心の根っこにあるのは悲観だろうね。もちろん自己愛もセットだけど。

あと、宇宙船内みたいな通路でどこから来るかわからないモンスターと戦うって完全に『エイリアン』だよね。しかも見えないから『プレデター』感もあるという欲張りセット。そして今回見て気づいたのだけど、本作はユニバーサル2作目の『透明人間の逆襲』からの引用が非常に多い。煙やスプリンクラー(雨)の中に浮かび上がるシルエットや鏡台前の美女、透明状態から血管や筋組織が復元していく様子は完全に影響を受けている。透明化を映像表現で見せた本作は本当に価値のある作品だと思うけれど、襲い来る描写は『透明人間の逆襲』に分があるように思った。ちなみに本作の透明化するところは当時のトラウマです😭グロすぎるよ…😱
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