るるびっち

処女散歩のるるびっちのレビュー・感想・評価

処女散歩(1936年製作の映画)
3.4
今だったら、ストーカーで接近禁止命令が出るだろう。
この時代は、一押し二押し三に押し・・・と男性側の猛烈アタックは微笑ましいものと思われていた。
嫌よ嫌よも好きのうちと、女性側が被害を訴えても笑って取り下げられてしまう。

実は、男女とも傲慢さでは同じなのだ。
お互いに頑固で意地っ張りで、相手に屈服したくない性格。
どっちもどっちなのである。

しかし、男のほうが社会的地位と財産による影響力があるため、女性側の作戦より男の作戦の方が有効に働いてしまう。不公平だ。
彼女の傲慢な振る舞いは、所詮やせ我慢程度にしか見えない。
一方で男の方は、彼女の婚約者を海外に出張させたりと卑劣極まりない。
しかも母親が男のスパイなので、彼女は孤立無縁なのだ。
シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』以上に不快なのは、男の側に地位と財力と味方が居て一方的だからだろう。
立場が公平でないとゲーム性は楽しめない。
男の地位と財力とスパイを封じた上で、恋の駆け引きをやればズルくは感じないだろう。
難破でもして、無人島で繰り広げるべきだった。

現代なら真に経済力や地位と名声においてハンディのない状態で、男女は恋のゲームをできるだろう。但し海外作品ならば。
日本の女性経営者の数は世界でダントツに低いので、今も日本では90年前の本作と同じく、男女のゲームは不公平なままなのである。
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