mazda

アメリのmazdaのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
5.0
初見はDVD。映画をそこまで見なかった頃から好きな宝物のような映画。実写映画で1番見てる回数の多い映画が断トツでこれ。こんなに何度見ても見るたびにドキドキが鳴り止まない映画を他に知らない。

これはアメリという夢想家女子の話で、友達もいなければ家族からもきちんとした愛をそそがれず、人との距離感がわからない彼女は空想の中を楽しんで生きてきた。
一見夢見ガールのふわふわストーリーに見えて伝えようとするものはすごく現実主義。
思うことがあってもそれを表にすることができる人は多くない。誰かの話を熱心に聞いて同情したり、優しさに感化されても、自分のこととなるとなかなか一歩を踏み出すのは難しい。
自分の殻に閉じこもり、1人でひっそりと完結させていた今までとは違い、誰かが一緒にいなければ完結できない物語を知る。それを知った時少しだけ世界は違うように見えてくる。
彼女が空想主義ではなく現実の中で生きれる人だということは、証明写真のスキンヘッドの男が幽霊ではないという展開がメタファーになっていて、証明してくれる。

冒頭のアメリの誕生の瞬間の世界の話、
出てくる人たちの好きなものや嫌いなものを紹介することで丁寧に描くその人の人格、
ドミニク・ブルトドーの少年時代の宝物を手に入れる話、
絶頂に達したカップルが何人いるかの話、
排水溝に隠れたプロンプターが教えてくれる『あなたは野菜以下ね、野菜には芯(ハート)があるもの』、
証明写真のアルバム、
ドワーフが世界中を旅する話、
昔電車の車掌してた八百屋のパパがローリエの葉に穴を開けちゃう話。
この映画にでてくる全てが好きすぎる。
おじいちゃんの、
『おまえはガラスの心じゃないから人生にぶつかっても大丈夫だよ。』って言葉がなによりも好き。
おしゃれで世界観の素晴らしい映画なことは確かだが、この映画はそんな外見だけで語るようなお飾り映画ではない。この映画を見てもしかして世界はこんな風に作られてるのかもしれないと私たちが想像することが幸せになる映画だ。
mazda

mazda