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震える舌のRのレビュー・感想・評価

震える舌(1980年製作の映画)
4.7
すすすすげーーーー。幼い女の子がとんでもない難病にかかって、すさまじい症状と治療を繰り返すのをホラー映画のように演出した、恐ろしい、恐ろしい、実に恐ろしい映画。もーね、見てる間ずっと体が硬直、見終わったあとはグッタリ。昔一回見たことあって、その時は何て嫌な!嫌な映画だ! と思ったけど、今回は終盤感動で涙が止まらなかった。まず冒頭、小さな昌子が汚い川で泥遊びをしてる。真っ青なフィルターを通したような映像と気味の悪いサウンドの毒々しい演出で最初から心がざわめく…。その数日後、昌子は口を開けなくなって、片足ビッコ引くようになる。おかしいぞ、と思って病院に行くも特に異常なしの診断。だが、その夜、舌を噛んで歯を食いしばり口の周りを血まみれにしてぎいいいいーーーーー!!!と叫ぶ昌子にただならぬものを感じた両親は昌子を大学病院に連れて行く。早速精密検査をすると、破傷風との診断。そこから地獄の闘病生活が始まる…。とにかく前半は昌子の症状がすごい! 演技すごい! どーやって幼い少女にこんな演技をさせたのかめちゃくちゃ気になる! とにかく何もかもがイタイ! 痙攣、出血、注射、点滴、鼻からチューブ、吸引、などなど、その全てにギィーーーーー!!!と苦しみの悲鳴をあげる昌子。見てらんない。まるで悪魔に取り憑かれたかのよう。肌もだんだんボロボロになっていってマジ誇張なしにエクソシスト。こええええ、破傷風怖すぎるーーー。ほんで、昌子のそばで急激に疲弊し、精神的にボロボロになっていく両親。演じるのは渡瀬恒彦と十朱幸代。この二人が素晴らしい熱演! 最初は頼りなさそうな旦那やなーと思ってたけど、病状に絶望しながらも娘のそばにいてやりたい、という気持ちが強まっていく過程に感動。お前だけを愛して…のくだりは滂沱の涙。で、奥さんがどんどんおかしくなっていくの、見ててツラい。この結婚をしなれば…娘を産まなければ…そりゃそうなってまうのもしゃーない。こんな絶望的な状況で、心の支えになるモノが何もないんやから。そんな中、自分の生活を犠牲にしてでも、たったひとりの赤の他人の小さな命のために必死に尽力する女医さん、そして、看護士たちの姿には心から感動。使命感を持って仕事に臨んでるお医者さんってほんまスゴいね! どれほど希望が小さくても、とにかくできる事をすべてやりきる、その慈悲の汗に、畏敬の念を禁じ得ません。おばあちゃんも良かったね。旦那の友だちも良かったね。みんなが何とか自分のできることをしてあげようとする。何という素直な善良さ。それでも、病魔の勢いは容赦ない。まさに死闘。小さな生きる力は迫り来る死の闇に勝利できるのか? 恐らくは非常に強力な劇薬を、あんな小さな体にどんどん注入していく様子は、見ててものすごい恐ろしさを感じる。やっぱ病気の治療というのは、最終的にはその患者の生命力に賭けるしかないんやろなぁとヒシヒシと感じた。ちなみに時折のサスペンス演出もしっかり効いてて、お盆がうわっ!のシーンとかフラットライナーシーンとか声出てまうわ! すさまじい迫力のとんでもない作品。世界で一番恐ろしい映画のひとつだと思います。もう見たくない、けどまた見たい。あのすばらしい女医さんをまた見たい。
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