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血と骨の小のレビュー・感想・評価

血と骨(2004年製作の映画)
3.3
日藝生企画・運営の映画祭「朝鮮半島と私たち」にて鑑賞。原作は自身の父親・金俊平をモデルに描いた梁石日の同名小説。学生たちがどういうつもりで本作を選んだのかはわからないけれど、金俊平が「朝鮮半島」と結びつくようにはあまり思えなかったかな。

ビートたけしさん演じる金俊平は、気にくわないことがあると怒り狂う、性と暴力の怪物みたいな男だけれど、衰えていくにつれ哀れな感じなっていく。

金俊平がこういう人になるまでには、もちろん様々な出来事があったのだろうけれど、それが何なのかは良くわからない。映画祭のテーマなら、彼の青年期のドラマの方が良いのかもしれない、という気がする。

本作は金俊平という男の生き様を描いていて、スゲー人がいたもんだと、そのキャラの濃さに圧倒され、尺は長めだけれど最後まで退屈することはない。ただそのせいもあってか戦後朝鮮人のドラマみたいな部分は薄味な印象。商業映画としては正解なのかな。

ところで、ビートたけしさんの演技については、賛否両論のような気がするけれど、自分的にはコントっぽかったかな。拳銃を撃ちまくるとかならいざ知らず、小柄で筋肉質でもない彼は腕力的に強そうに見えず、滅茶苦茶ぐあいがイマイチな気がする。

ビートたけしさんが振り回すこん棒がクニャとなったり、集団でもみ合っているシーンで、その他大勢の役者さんのケリがあたってなくて「こんにゃろ、こんにゃろ」みたいな感じ。そういうのがあると、他のシーンが良くてもコント感の印象が残ってしまうんだよね。そもそも主役がコメディアンなのだから、余計に気を付けるべきでしょ。

それもオッケーということならば、エンタメとして楽しめば良くて、ますます「朝鮮半島と私たち」からは遠ざかる気が…。

●物語:3.5
・キャラはいい。観ていて飽きない。

●他 :3.0
・たけちゃんも嫌いじゃないけど、コントっぽい。本物の金俊平同様、もっとデカい人が良い気がする。
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