Jaya

欲望のあいまいな対象のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

お大尽の爺さんマチューが全然ヤラせてくれない若い女コンチータに翻弄されまくるお話。民主化当時のスペインはそんなに物騒だったのかしら。

面食らうのは二人一役のコンチータ。色んな解釈ができそうですが、演技も含めてこの一筋縄で行かない感じが素晴らしく表されていたように思いました。

冒頭の水かけから倒叙的にコンチータの悪女っぷりが振り返られるという構成にワクワク。コンパートメントにやってくる人々の描き方から皮肉が効いていて、全ての人物が皮肉まみれなのはさすが。ブルジョワに左翼学生にキリスト教。

愛あるセックスを夢見ながらも、お預け食らわされ続けて最後には怒り出すマチュー。コンチータの愛のお試しで見えたものは本物の愛だったのやら。

ラストのコンチータの衣装は聖母マリアが意識されているのでしょうか?そしてラストシーンの爆発は唐突なる非業の死かマチューの心象か。

不憫に思わせない装置を身に纏いながらも少しは不憫に見える爺さんをコミカルに描いて、愛とセックスについて少しだけ考えさせてくる傑作でした。
Jaya

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