このレビューはネタバレを含みます
吟遊詩人アシク・ケリブが出稼ぎの旅に出て帰ってきて婚約者と結婚するお話。タルコフスキーに捧げるの文字に驚き。
比較的分かりやすいお話の展開。旅の途上で色々とありますが、そこも分かりやすかったです。
心奪われる表現の数々。零れ落ちる血を表す赤い布、文字通りの張り子の双頭の虎、なぜか機関銃。ラストシーンにはカメラそのもの。白い鳩のカットが飛んでるのは上手く止まらなかったのかとも思いますが、わざとかも。
吟遊詩人だけあって、紡がれるメロディが堪らなく美しい。といっても同録ではなく、そもそもセリフもアテレコどころか殆どアテてもいない。それが映像としての寓話性を醸し出しています。
余りに話が分かりやすく一本調子すぎて退屈に感じてしまうところもありましたが、寓話的な映像美はさすがの名作でした。