平野レミゼラブル

ディア・ハンターの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.7
凄い作品だ…!凄い作品だというのはわかるが、それにしたって尺が長い……!
冒頭から故郷での青年たちの青春が流されるが、そこから本作随一の見どころであるロシアンルーレットに行き着くまでに1時間強あるのは中々しんどいものがある。
その牧歌的な光景が、戦争を経た青年達にとって帰る場所ではなくなってしまうという対比が効いてくるのはわかる。わかるのだが、それにしたってそこの尺が長すぎる……!
友人の結婚式で故郷に盛大にお祝いされながら出征して、帰還時にもやっぱり変わらず故郷は盛大なお祝いムードなんだけど、それに居たたまれなくなって故郷をスルーしてしまうデ・ニーロの姿とかは秀逸なんだけどね。これも1時間の故郷のシーンが長いからこそなのかなァ…いやそれにしたって長いが……

ただ、ロシアンルーレットに入ってからの一連のシーンは圧巻。
デ・ニーロの狂気に取り憑かれながらも完全に狂った演技をしている複雑な演技が巧すぎるし、そこからロシアンルーレット一本に絞って戦争のもたらした狂気と悲劇を描き切る手腕も凄まじい。
暗い中で映える額の赤など、随所で印象に残るよう画面が強調されてたのも効果的だったなァ。

序盤がとにかく退屈だっただけに、割と見落としている場面が多いのかもしれないと悔やむ部分もありますが、そんな自分でも後半は凄いってことは伝わってきた映画であった。
色々勉強したりすれば、自分でも最初の1時間に何か感じ取れるようになるのだろうか?いやでも流石に1時間は長いよなァ……