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吸血髑髏船のhorahukiのレビュー・感想・評価

吸血髑髏船(1968年製作の映画)
3.3
8月は心霊課題②

船員全員を皆殺しにして大金強盗したは良いけれど、殺した奴の身内にヤベェのがいた!っていうリベンジホラー怪談風味。ほとんど顔の圧力だけでビビらせて殺していく強キャラ幽霊さん…なのか強盗たちがガラスメンタルなのかはわかんないけど、とにかく清々しく退場していく悪党たちの小物感がすごい!

どうやら松竹の『吸血鬼ゴケミドロ』に続く怪奇路線の映画らしい。前作に続いて西洋風味を取り入れようとした結果なのだろうけど、キリスト教の神父がメインキャラクターとして登場して辿々しい口ぶりで葬儀をやってたり、悪を象徴するものとして蝙蝠がバレバレな糸に吊られてぴょんぴょんしてて、頑張って雰囲気出そうとしてる感が愛おしくて堪んない!でも糸バレバレ蝙蝠はハマーとかコーマンとかもやってたから、ある意味完璧な再現度!

タイトルになってる吸血要素は全くないのだけど、一応血を注いだりはしてたから、そのあたりでタイトルつけたのかな。もしかしたら蝙蝠がカメラの見えないところで多少吸血してたのかもしれません!あとカメラの映ってないところで蚊が飛んでた可能性も否定はできない!😂

西洋風味って書いたけど、山本監督の血を吸うシリーズが70年〜ってことを考えると、西洋の吸血鬼的発想の輸入という点ではこちらの方が若干早い。もちろん『吸血鬼ゴケミドロ』もそうなんだけど、10年くらい前には中川信夫監督が『女吸血鬼』で洋の東西折衷をやり遂げてるわけだから、やっぱり中川監督ってすげー!

本作はリベンジホラーでありながらも、結局は殺した奴に瓜二つな人間を目撃する等、過去の罪を思い出させる記号を目にすることで、自分の中で大きくなった罪の意識に恐怖するという内面による破滅を描いているあたりは怪談らしくて、微妙にある吸血鬼要素とうまい具合に和洋ミックスやってるから案外ちゃんとしてる。

ずっと地面に並行なカメラで映し続ける中、序盤一箇所だけ、話してる会話は普通なのに斜角で人物を捉えることで雰囲気に緩急つけてるところがあって、そんでまあそいつが予想通りヤバイ奴だったっていう撮影の素直さみたいなのが割と好きだった。あとモンタージュで繋げられるギリギリを攻めてるのか何なのかわかんないけど、大胆なカットの省略が面白かった。

あとどーでも良いけど、ポケモンの鳴き声みたいな悲鳴を上げるオバちゃんがサイコーだった!😂
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