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テラー博士の恐怖のhorahukiのレビュー・感想・評価

テラー博士の恐怖(1964年製作の映画)
4.0
めっちゃ面白いホラーオムニバス♫
当時、イギリスの映画製作会社アミカスプロの名を一気に有名にした名作!
そして、ピーターカッシング、クリストファーリー、ドナルドサザーランドという超豪華俳優陣の共演も見どころです。

あらすじ…
夜行列車のコンパートメントにたまたま乗り合わせた5人の乗客とシュレック博士というご老人。シュレック博士はタロットカードで未来を占えるという。せっかくだから1人1人占ってもらうが、そのどれもが恐ろしい運命を示すものだった…という話。

5人の乗客を待ち受ける運命ひとつひとつが短編ホラーとなってるオムニバス作品です。なので全5話。1話終わるごとに、最初はタロット占いなんて信じていなかった乗客たちの間に嫌〜な空気が漂っていくのが面白いです。

1話目『WEREWOLF』
自宅の改装がしたいという依頼を受け、屋敷に調査にやって来た主人公。そこには夫を亡くした女主人と使用人の老人、そしてその孫娘の3人が暮らしていた。調査中に地下室で棺を発見する主人公。その棺は伝説の人狼のものだった。伝説では、人狼はいつか蘇り屋敷の主人と取って代わるとされているが…という話。

面白いです!
屋敷の女主人は快く迎えてくれるのですが、使用人たちが常に主人公を監視しているように見えて何か様子がおかしい。ゴシックムード漂う屋敷の雰囲気や地下室から出てくる棺、100年以上前の人狼伝説等、古典怪奇映画の空気感が好きな方には堪らない作品です。

2話目『CREEPING VINE』
旅行から帰って来た両親と娘の3人家族。旅行前にはなかった植物が自宅の花壇に植わっていた。切り落とそうとハサミを向けるが弾き飛ばされてしまい、手出しできない。植物の専門家に相談し来てもらうと、どうやら頭脳がある様子。次第に植物が家を囲うほど大きくなり…という話。

これもなかなか面白いです!
植物が頭脳を持ったらどうなるかという恐怖を描いた作品です。簡単にいえば食人植物ですね。この作品では主人公の家だけで異常が起こるのですが、植物の生命力って凄いですからね〜ちょっとした終末感をも感じさせる面白い作品です。

3話目『VOODOO』
ハイチにやって来た音楽家の主人公。そこではブードゥー教が信仰されており、友人に止められたのにその祭事をコッソリ見に行ってしまう。そこで聞いた曲が気に入り、ブードゥー信者たちに儲け話を切り出すも、拒否されたうえ警告を受ける。国に戻った主人公は警告を無視し、ブードゥーの曲をアレンジして披露するが…という話。

これもなかなかですね。
異教・異国とはいえ、神や文化を冒涜したものがどうなるか。曲の演奏シーンがほとんどを占める作品なんですけど、楽しい雰囲気の中、ブードゥーの曲の時だけに起こる妙な現象。ブードゥーに秘められた恐ろしい何かだけでなく主人公の狂気じみた金への情熱も描かれてて面白いです。

4話目『DISEMBODIED HAND』
高名な美術評論家の主人公。メデイアを引き連れて、とある画廊で特定の画家の作品を貶していた。そこで1枚の絵をべた褒めしたところ、それは実はチンパンジーが描いた絵で大恥をかく。その日から、今までバカにしてた画家に会うたびにそのことを思い出し、それが嫌で画家を車で轢いてしまう。その日から主人公の周りに手首が現れるようになり…という話。

これも面白いです!
手首が歩いて襲ってくる系ホラー。主人公がめっちゃムカつくやつなので、チンパンジーで恥をかく流れはスカッとします。画家や美術家にとって何よりも大切なもの。それを失うこと=命を失うことという展開が面白いですね。


5話目『VAMPIRE』
主人公は医者。体調が悪いという子供の診療をすると血液量が異様に少なくて、首もとに傷があった。それを先輩医に相談。原因解明のため、子供に一晩つきっきりで看病した先輩医が、子供を襲おうとする蝙蝠を目撃。吸血鬼の仕業と考えた先輩医は、その正体が主人公の妻だと主張するが…という話。

これも面白いです!
ありきたりな吸血鬼映画と思わせといて、捻りを加えた展開をしたうえで、短編小説のようなナイスなオチをつける良作。蝙蝠がちゃっちすぎて紙飛行機くらいにしか見えませんでしたが、それも味ですね(笑)

良作ぞろいの素晴らしいホラーオムニバスでした。本筋のシュレック博士と5人の乗客のその後についてもしっかりしたオチがついてます。シュレック博士がストーリーテラー的な役割なので、世にも奇妙な物語のような雰囲気なのも世にも〜好きには嬉しいですね!

ただ、これVHSで見たんですけど、画面が暗すぎてまともに見れないレベル…(^_^;)明るさ調整しまくって何とか見れました。大好きなので、日本版Blu-ray出て欲しいです!
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